act22 自分たちのattest3
act22 自分たちのattest(証明)3
倒れている白装束の教団員を一人一人うつぶせにし
両腕を後ろに回し両手の親指を重ねて結束バンドで止める。
ということをそれぞれの村の有志で行っていく。
マサヒコたちは作業しながら『大丈夫かな、先輩』と考えながらも作業を行っていく。
その心配されている張本人は、ちょうど第一駐車場についたところだ。
第二駐車場と同じように件の教団が到着していた。
マイクロバスが五台止まっており、先ほどより状況は悪化していた。
すでにひと悶着が始まっていた。押し入ろうとする教団員と村の有志がもめている。
その様子を見たカルウは慌てて、先ほど同じように刀を床に突き刺す。
刺した所を中心に赤い光の波紋が広がる。
そして、押し入ろうとする教団員たちを赤い光の波紋が通り抜けるとその場に次々と倒れだす。
教団員たちの後ろで腕を組みその様子を見ていた一人の教団員は、慌てた。
先ほどまで元気に押し入ろうとしてた教団員たちが急に倒れたのだ。
何が起きたのかと原因を探ろうとあたりを見回す。
すると、第一駐車場の連絡通路入り口ににいる男に目が行く。
その男はコンクリート床に刀を突きさしこちらを見据えているのだ。
間違いなくあの男がこの状況を生み出したのだと確信したようだ。
一人残った教団員は、憎々しく男をにらみつけていた。
教団員が動く前に眼鏡をかけたブラウンのスーツを着た男性が歩み寄っていった。
「さて、形勢は逆転した。というよりすでに君たちは無力化された。
投降していただけるとこちらとしても面倒がなくて助かるのだがどうだね。」
教団員は話しかけてきたスーツの男性に視線を移す。
教団員はやせ形でほうがこけた顔つきで目が鋭かった。
その視線は相手を射抜くような勢いだ。
「はあははは、雑魚どもが束になっても無駄か。やはり選ばれしオレが動くしかないか」
「もう少し面倒な相手かと思ったが、ただの思い上がりか。すぐに終わりそうだな」
「ああ、すぐに終わるさ。てめえの無様な姿をさらしてな」
下卑た笑みを浮かべる教団員。
その姿をみて、やれやれと嘆息し
「カルウ。どうやら大したことのない相手だ。さっさと次に向かえ、時間がないのだろう」
「はい、では、後をお願いしますね。コウさん」
カルウはそういうと駆け出した次の場所に。ここは信頼できる人間に椚コウイチにまかして。
「はは、面倒なことをする貴様程度の下っ端でオレが何とかなると思ってんのかよ」
「そうだな、その無駄な自身はお前の異能からくるのか」
「その通り。今までオレの異能に恐怖していったんだ。」
これは、何を言っても無駄だなと確信した椚コウイチはさっさと片付けることを決めた。
「はは、貴様もひれ伏すがいい」
というと教団員の目が怪しく光る。
その視線の先にはいたコウイチが、様子が変わることなく向かってくる。
そのことを不思議に感じたのか、コウイチを長い間見つめる。その姿に
「気持ち悪いな、そんなに見つめてきてもオレにそんな気はない」
「何を言ってんだ。てめえ、それよりなんでオレの異能が聞いてないだよ」
「なんだ、異能力を使っていたのか。ただ、色目を使っているのかと思った」
とコウイチが無表情で静かに話す。
「そんなわけないだろう。なぜ、オレのファントムペインが発動しない!!」
教団員は地団駄を踏みながら叫ぶ。
よほど自分の異能力に自信があったのだろう。
通用しないことが彼のプライドを傷つけたようだ。
とても”神の名のもとに”と言う宗教家に見えない。
ただの自分の力を誇示して喜ぶガキ大将にしか見えない姿だ。
いかに身勝手な集団かを象徴しているような人間に見えた。
「まったく、見苦しいな。村の人間にとっての教育上に悪いからもう黙れ」
というと、教団員にコウイチは一瞬で迫り、右こぶしを溝内にねじ込む。
「く、はぁ。」という声をあげ、教団員は前のめりに倒れこむ。
コウイチはそれを確認すると、
「さあ、こいつらを縛り上げるぞ。ちなみにこいつは目隠しも忘れずに」
と号令をかける。
それを合図に村の有志がそれぞれ動き始める。
わずか20分で2百人程の教団員たちを制圧した。
攻防戦と呼ぶにはお粗末な終結である。
村の有志が教団員たちを縛り上げている様子を見ながら
『まあ、あいつなら向こうもなんとかするだろう』
とコウイチは、カルウことを気にかけていた。