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GLAIVE (狂炎伝承)   作者: 団栗山 玄狐
Ver.03 宗教団体《幸福の導き》
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act17 被害者たちのloopholes

act17 被害者たちのloopholes(抜け穴)


さて、ここは、千早第二ビル三階にある公民館の中。

村民ならだれでも使えるし、入れる。

だが今は、5人しかいない。畳敷きに座布団を引き5人が輪を作るように座っている。

カルウ、ユタカ、ナズナ。それに立山ミナミ、ミサキ親子である。


「さて、ここに来てもらった理由はわかるミナミさん。」


「今回の事件に関係することなんですよね」


「もちろん、ユタカ、ナズナの二人は今回奴らの目的であり、

 あなたたちは、ここの情報を奴らに報告している現地諜報員になりますよね」


「でも、それには理由があって・・・」

ミサキが身を乗り出して話し始めるが、カルウが手のひらで待ったのポーズをする。


「そちらの現状も理解してます。下の息子さんと娘さんが人質として捕まっているからですよね。」


「・・・はい」

ミナミは疲れような顔をして返事をする。


「まあ、それを踏まえても今回の件は大問題になります。

奴ら宗教テロリストを招き入れる結果となったのですから」


「それは、理解しています。ですが、選択肢がそれしかなかったんです。

村の方々は、とても親切でいい方ばかり。心ぐるしかったですがどうしようもなかった」


「ですね。まあ、奴らも用意周到で来てますし、その事について仕方ないとしか言えないでしょう。

ですが、奴らに加担したという結果は残るのであなたたちを警察に引き渡さないといけなくなります」


「そこまで理解されているなら、見逃してもらえませんか」

ミサキが懇願する。


「それは、できない。あなたたちの身の上を理解しても《奴らの仲間》という扱いは消えない。」


「そう・・・ですけど・・・」

ミサキはしりすぼみな答え方をする。


実際、そうなのだ。

いくら、人質を取られ仕方なしに協力したとしても、

奴らに加担したという現実は残る。


他の人からすれば奴らの仲間と思われても否定できない。


「でもさ、被害者なんだから何とかできなの」

ナズナが口をはさむ。


「なら、何ができる。一応お前も探偵社の局員だ。

ここで意見するということは、何かいい案でもあるからだな」

カルウはきつめの口調でナズナに迫る。


「それは、なにもないけど。利用された人を犯罪者扱いはひどいと思う。」


「そうだな。だが利用された人であっても何をしてもいいということにはならない。

 社会のルールや法律はそんなことを許してくれない」


「でも・・・」


「でもじゃない!現実は必ずしも弱い者の味方じゃない。

 現実は、もっと理不尽なんだ。自分だけは助けてもらえる。

 助かるなんてことは起きない。そんな都合のいい話はない」


ぐうの音も出ない。

ナズナ自身わかっていた。世間は理不尽で厳しくて自分だけは大丈夫なんて

都合のいいことなんて起きない。

ナズナもそのことは痛いぐらい身をもって知っていた。


でも、何とかしたいという気持ちはある。

でも、何とかするためのアイデアがない。

それは、何もできないことと同じなのもよくわかっていた。


何もできない自分がとてもはがゆいと思った。


緊迫した空気があたりに立ち込める。


「ここに呼ばれたのは自首できるようにですよね。そうすれば罪が少しは軽くなるから」

ミナミは覚悟決めた顔でカルウを見る。


「まあ、そうなります。あなたはウチのジイさんバアさんから評判もいいので無下にできないですから」


「ご配慮ありがとうございます。」

というとミナミはその場を立ち上がろうとすると。


「まあ、気が早いです。座ってください。ミナミさん」


「はい?」

と驚いた顔で答える。


「今までは、あくまでも世間では、の話です。

これからは、こちらから提案する悪だくみです。よく聞いてください。」


「え、はい」


「いいですか。あなたはウチのジイさんバアさんから評判もいい。

で、そのジイさんバアさんが何とかしろと言われまして・・・

考えました。お二人さん。うちの探偵社に依頼をしてください」


「はい????」


「探偵社にお子さん救出の依頼をしていただければ、

 今回の事はその依頼を達成するための潜入捜査という建前ができます。

 もちろん、協力してくれることが前提ですが。」


「ですが、そんな都合のいいこと・・・」


「はい、都合がいいことです。

 でもこの手を使えばいろいろと面倒事が一度に片付きます」


「面倒ごとですか・・・」


「まず一つ、今回宗教団体を片付けれる。

   一つ、あんたたち親子を救える。

   一つ、ジイさんバアさんに言い訳できる。

   一つ、人手不足のわが老人ホームが助かる。

   一つ、探偵社の問題も解決する。

 ぐらいかな」

と指折り数えながらカルウは言った。


「結構、ありますね。」


「だけど、この都合のいいことをするためには、条件がある。」


「条件ですか?」


「そう、君たちが持っている情報をすべてこちらに提示すること。です。」


「それが条件ですか。」


「この条件を満たしても一時の監視は付きますがこれは所がないことなので

 了承してもらわないと仕方がありませんがね」


「わかりました。私達にとってはありがたいくらいの譲歩ですしね」


「交渉成立ですね。ちなみに担当はナズナがします。これからの窓口はすべてこいつで」

カルウは親指でナズナを指さす。


「なんで私!!」

突然、振られたので慌てるナズナ。


「今回の適任者であり、一週間後に来る奴らの本隊に対する対策案を考えるようにと

 会長からのお達しだ。オレが決めたわけじゃない。観念するように」


「そんな~。フォローはしてくれるよね。ペルボ君とかさ」


「あいつは今忙しいから無理。局長は手伝ってくれるってよ」


「う~、頑張るしかないか」


「まあ、おれも手伝える時に手伝うようにするよ」


「努力します」

ナズナはうなだれるように返事をした。

皆さんの意見などありましたらお願いします。

それを励みに頑張ります。


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