act15 言い分のparallel line
act15 言い分のparallel line(平行線)
全員が拘束され、一つのところに集められた。
ナズナはみんなの安全が保障されたところで口を開く。
「なんでこんなことをするの。
今のあなたたちにとって私を確保すればもう目的を達成したことになるでしょう」
「はは、我々の目的の一つはね。他にも目的はある。
例えば、この村を我らの拠点とする。とかね」
「何考えてんの。あんたたちの拠点はもうあるでしょう。」
「我々の現在の拠点は時の為政者たちよって崩壊した。
だから、それに対抗し得る場所を探していたのだよ。
この場所がたまたま条件に合った上に目的のものもそろっていた。
好都合だったのだよ」
「そんな勝手な言い分・・・」
「君たちと言い争うつもりなどないよ。
なんせ、これは神の思し召しなのだ。我らに試練を与え、それを乗り越え安住の地へ導くための・・・
その他に何もない。異教徒がどうなろうが為政者がどうしてこようがね。
この地にある目的のものが手に入ればすべての問題は解決するからね」
カボンは両腕を広げ空を仰ぐ。
その目は自分たち以外はどうなってもいいという考えに支配されている。
もう何を言っても無駄なのだと思えるほどに。
「最低ね、あなたたち。」
「その最低な私たちの仲間になるのだから、問題ないだろ。
さて、ほかの所の様子も確認しに行きますかね。移動するぞ。みんな外へ・・・」
その号令とともに他に白装束たちは動き出す。
人質とともに
ナズナは歯がゆかった。
何もできず、また、彼らにつかまったこと。本当は彼らの不正を暴き壊滅させるはずだった。
その情報も集めたいた。
でも、この状況までは予想できなかった。
これは、私のミスだ。と。
そんなことはないのだが、彼女の心がそうさせなかった。
図書館の外、駐車場に出るとそこには白装束が二人拘束されバスの前にいた。
その横には若い男女が彼らを迎えるように立っていた。
その様子を見たカボンは眉をわずかに揺らす。
慌てたほかの白装束たちは、カボンを守るように前に出る。
それを制すように手をかざし、改めて前に出るカボン。
ナズナは、その中で二人の姿を見て思わず、叫んだ。
「カルウ君、ユタカさん」
その言葉にカボンはさらに眉を揺らす。
目的の一つがここにいる。
つまり、自分たちの作戦の一つが失敗したことに気づいたからだ。
「物騒なお出迎えですね。我々に入信希望の方ですか」
カボンは冷静を装う。
「アンタは、そんなこと考えてないだろ。カボン・バレーさん。
心にもないことは言うもんじゃない。あんたの悪名はなかなかなもんだよ。
その聖職者の位置は、居心地がいいからかもしれないけど」
カルウは、牽制した。
人質がいる。だが、彼らにとっては切り札でもある。
危害は加えられないはずだ。
だが問題は、この男である。
戦場をわたり歩き、非道を繰り返し有名になった男がここにいる。
面倒なことになったと心の中でごちた。
「ほう、異なことを言う。君は我々の巫女となるべき人物を連れてきて
自分の有用性を見せただけではないのかね」
ものはいいようだな、と考えたが相手のペースに乗るわけにはいかないな
と考えた。
「うん、なかなか狐だね。
自分たちの優位が揺らがないからか、切り札がまだいくつかあるからか。
今の状況でも知れば少しは変わるのかな」
「ほう、私達は友好的にこの村に来たのだが」
「友好的な者たちは、拳銃なんかぶっぱなさないと思うがね」
「意見の相違だな。君たちを異教の呪縛から解き放つための浄化儀式だよ。」
「すばらしい。物はいいようだ。自分たちを常に正当化して、他は悪だとののしる。
自分たちの行動は神に守れ正義であるとし、相手を叩きのめすのは彼らのためというわけか」
「なかなか嫌な言い方だ。だがおおむね間違っていない。
私達は神に選ばれたのだから。もちろん、君もね」
と右手のひらをカルウに指し示す。
「うん、無駄な会話をした。めんどくさいからもう制圧させてもらう。」
とカルウは足を踏み出す。
「短絡的だね」
「私が出ます」
とカボンの左後ろにいたガタイのでかい男が前に出る。
「見せしめになるようにするのですよ」
カボンは、小声で言う。
「はい」
ガタイのでかい男の口元がいやらしくゆがむ。
「やれやれ、力の差もわからないのな。ここに襲撃をかけた時点であんたたちは詰んでいるのにも関わらず」
「ハン、何を言うかね。異教徒が、今から浄化してやる。思え」
そういうとガタイのでかい男は右こぶしをカルウに突き出す。
カルウはさらに前に一歩踏み出し左手で相手の右手首をつかみさらに前にひき、
その勢いのまま相手の懐に入り溝うちに右肘を叩き込む。
男はむせ返り、動きが止まる。カルウはそのままの勢いを利用し
右肘を起点に右手の甲を相手の顔面に向けてひり上げる。
油断もあったのだろう。顔面にヒットした右手の甲が男の意識をわずかに飛ばし
顎が上がる。
カルウはそのまま右手を下げ、振り上げる。
掌底突きをその顎に叩き込む。
その時点で相手は意識を刈り取られ、背中から倒れ込む。
わずかな出来事で、男の体のせいで何が起こったか見えなかったせいか。
倒れた男の姿がカボンの心にあったわずかな怒りに油注ぐ。
「はは、素晴らしい。だが今は邪魔だ」
とカボンはカルウをにらみつける。
カボンは能力トラウマアッパーを発動する。
条件は相手の目を見ること。それが成功したことを確認すると
ほかの白装束たちに指示を出す。
「抑え込み、巫女をすくいだせ」
白装束が4人前に出て二人のもとに向かう。
カボンは自身の能力に絶対的な自信があった。
どんなに強い人間であっても心までは鍛えられない。
その心弱い部分をえぐり、戦闘不能に追い込めるのだ。
そろそろ、頭を抱え叫び出すはずだと思いカルウを見る。
だが、その自信が覆る。
近づく4人にカルウが何事もないように立ちふさがり、たたき伏せる。
そしてカウルは一言言い放つ。
「思い出を見せてもらっても大したことないのだがな」
その言葉にカボンの顔がゆがむ。




