第5話‐別れ‐
残りの1週間も特に変わらず、少年少女が寂しそうにしてた位だ。
交易の馬車がやって来た。
基本自給自足だが塩など不足する分を運んで来ている。
だがこの交易のメインは納税だろう。商人と護衛の冒険者と一緒に役人が来ていた。年に1か2頻度で年貢を徴収しに来る。
麦などの長期保存可能な作物や物資が税金の対象となる。
商人と話をつけ同行させて貰えることになった。
およそ3週間2つの村を経由し街まで向かう。
「ねこさん、さよなら。今までありがとございました」
「こちらこそありがとう。楽しかったよ」
「うぅ」
ユーカが腰に抱きついて来たのを受け止める。
短い期間だったが別れを惜しんでくれるくらい仲良くなれたってことか。
「のたれ死ぬなよ」
「ああ、兄弟仲良くやるんだぞ」
ユーリの頭に手を置く。
「二人にこれを」
ストレージからぶ厚い本一冊と十冊以上になるノートを渡す。
本には要点のみしか書いておらず、補足や説明など教授の説明を聞かないと読み解くことが出来ない。教本さえ読んでいれば理解できるくらい細かく書いてくれれば学校に通わずにすむのにとも思うが数十冊以上読むことになる。理解できればこの一冊で事足りるので、家庭教師や学校に通うのが一番楽な方法だろう。
「これは……」
二人は驚いた顔で魔法書の表紙を見る
「いらなかったら火種にでもしな」
「そんなもったいないことできるか!」
「しっかり勉強します」
「じゃあ」
荷台に乗り二人に別れをつげる。
二人は重たい本を片手に一生懸命手を振ってくれた。
ここまで別れが寂しいと思ったことはなく、ここまで誰かの未来を楽しみに思ったことはなく、こんなにも誰かの幸せを願った事はない。
バーチャルがリアルを越える。
そんな体験をできたことへの感謝は神にでもしておこうか。




