神道の「ともだち」のみんな
『みんな、助けてくれ、友達が殺されてしまう!』
目をつぶってそう強く念じると、割と直ぐに窓を叩かれる気配がした。
「みんな、来てくれたんだね!?」
言いながら窓を開けると、そこには人型の魔物が居た。
「影理、一体何があったんだい?影理の方から俺たちの事を呼ぶなんて珍しいじゃないか。
さみしくなったのか?」
「烏丸!来てくれたのか!」
黒い翼を持ったイケメン、具体的に言うと、鼻が高くて目が切れ長、薄い唇に色が白くて面長の烏丸と。
「他にもおるよー、クケケケ!」
窓の縁に捕まっている一言で言えばサル顔、詳しく言うと額が狭くて鼻の下が長い、目が丸くて愛嬌のある佐久間、他にも化け猫の魔物が来てくれた。
「全員男の魔物だな、よかった。
状況は良くないんだけどな。」
そういうと、みんなは首を傾げる。
「とりあえず、俺の部屋に入ってくれ、今からどんな状況になったかを簡単に説明するから。」
そうすると、みんなが部屋の中に入ってきて部屋がにぎやかになる。
「それで、何があったのだ影理、それがしたちの力を借りたくなるほどの事なんてそうそうないであろう。」
烏丸の足にしがみついた状態で部屋の中に入ってきた化け猫の東雲が俺に不思議そうな顔をしてくる。
一応どういった顔立ちをしているのかという説明を入れると、本当に、人と猫の間みたいな、そんな顔をしている。
丸いつり目、瞳孔が細く長い、耳は頭の上にあり、口がニヤリと笑っている。
そんな顔をしているというのに、喋り方が武士である、多少間違っているかもしれないけれども、武士のような喋り方である。
「実は、俺に友達が出来たんだ。」
「「「ともだちが出来たぁ!?」」」
それを聞いたみんなが一斉に話し始める。
「お主に友達がにてきたとは信じられぬな、いかがいった風の吹き回しなんじゃ?」
「そもそもそのものは人間か?」
「それもそうだな、人間じゃねぇかもな。」
「それ以前に影理の話を聞かねば分からぬでござろう。」
「ということで、影理、どういった用件で俺たちの事を呼びだしたんだい?」
まるで俺に恋人が出来たかのような騒ぎように一体なぜそんなにも騒ぐのか理解に苦しんだが、それを一先ず置いておく。
「みんなを呼んだ時に言っただろ?友達が危ないって、説明するからみんな、悪いけど戦闘準備は整ってる?」
聞くと、またざわめく。
「おや、そんな物騒なことになっているのか、影理。」
「あぁ、みんなが向かってほしいのは409号室、そこにいるケビンっていう泣きぼくろが左目の下にある男性と、両脇の髪の毛が長い黒髪の男性である如月を助けてほしい、もしも戦っているんだったら加勢してほしいんだ。」
そうお願いをすると、全員が「「「応!」」」と返事をしてくれた。
「そもそも、モンスターチャームを持っている者がお願いするでござるとは申すなりしが変な話しな気がするでござるな。」
東雲に言われたから、時間がないにも関わらず茶化してしまう。
「自由意思にしている時点で優しさを感じ取ってほしいかな。
それじゃ、命令で。」
「御意、其れでは、事の由は後にて聞くから、それがしたちは409号室に向かう。
烏丸と佐久間は窓から、それがしたちは正面突破にて参上するぞ。」
「了解。」
「了解、ほいじゃ、行くで~」
2人が窓から外へ行く、そして残った俺たち2人は如月とケビンが暴行を受けているであろう部屋に行くために、扉から飛び出して409号室に走っていった。
409号室の扉をガンガン叩く、しかし扉は開かない。
「鍵開け出来るか?」
「試してちょーだいみましょうぞ。」
そう言って東雲が爪を出して鍵穴をカリカリとひっかくと、ガチャリと鍵が開いた。
「毎回思うんだが、どうなっているんだそれ。」
「猫は扉を開けることが出来る、よくぞ申すことでござろう。」
そう言われても、何を言っているのかよくわからない。
「とりあえず、突入しましょうぞ。」
扉を開けるとそこには、既に制圧が完了したと思われる光景がそこにはあった。
「あれ、助けに来てくれたのか?」
ケビンを暴行していた奴らは既に床に倒れており、如月はその中の一人に足を乗せた状態でいた。
「あーっと、助けは必要じゃないか?」
俺が聞くと、如月は頬を掻きながら困ったように答えてくる。
「まぁ、な。
無力化に成功しているから、これから尋問をしようと思っていたところだ。」
「そっか、それならいいや。」
そこで、コンコンと窓が叩かれる音がしたから、如月が踏みつけている大柄な男をまたぎ、円卓の横を通って近くにまで行き、開けてみると、そこには臨戦態勢の烏丸と佐久間がいた。
「加勢に来たぞ、と、これは……」
烏丸が困惑したような表情を浮かべている。窓の縁に捕まっていた佐久間も中を見て一言。
「どうやら、無事終わったようやね。」
そんな事を言っていた。
「あぁ、とりあえずはな。
というか、何者なんだお前たち、知らない顔ばかりなんだが。」
如月がそうやって疑問を投げかけてくるけれど、それは一旦置いておくことにする。
窓の近くに倒れているケビンに目が行く、如月が相手の事を伸していたから驚きのあまり対応が遅れたが、ケビンを助けるのが第一の目的だ。




