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滅びた民族と俺の話  作者: 春川 歩
模擬戦闘の足音が聞こえる
32/66

色々な人が部屋に来る日だ

「はぁーい。」

「私よ、アンナ、影理いるんでしょう?」

どうやら、人型の妖精もやってきたようだ、ふと時計をみる、既に9時20分を指していて11時には強制消灯で俺にしては様々な人が来るなと思っただけだった。

しかし、違う人がここに2人も居た。

「人型の妖精かぁ、まだいるんだな、安心した。」

如月が姿を現しながら声を出すのと。

「ゆ、幽霊!?」

オネェがそう叫ぶのが聞こえないように扉を閉める。

「あ、ああああああなた!ゆ、ゆーれいと友達って噂されていたけれど、本当だったのね!?」

青ざめた顔をしたケビンは、右手で口を隠し、もう片方の手で俺の事を指さしている。

「いや、幽霊じゃないからな。」

如月が手を横に振って否定する。

「ねーえー、影理開けてよー!」

またコンコンと窓を叩くのにやれやれと溜息を吐きながら窓を開けると、オネェが頭を抱えて座り込んだ。

「ひぃ!」

そんな光景はお構いなしにアンナが入ってくる。

「ねぇねぇ、この人どうかしたの?」

アンナが彼の事を指さす。

「あぁ、なんでもないから、な?」

思わずアンナ、まぁ魔物なんだが、に幽霊だと勘違いしているんだと言おうとしてしまったが、幽霊と間違われるのを極端に嫌がるからな、言ったらただではすまないだろう。

「ところで、アンナ、どうかしたのか?」

「んー、影理に会いたくなったの!」

「そうか、俺に会いたくなったのか~。」

アンナはカワイイ、全長は手のひらサイズの大きさしかなく、桃色のボブショートに木の葉みたいな髪飾り、くりくりの目、背中が大きくあいた洋服はアンナの足元まであり、その大きくあいたところからはトンボのような透明な羽が見えている。

犬歯が少しだけ出ているが、それさえも可愛らしさに変換される。

「あと、知らない人が他にもいるんだけど、この人だーれ?」

「俺の事か?」

如月が自分の事を指さしている、それにアンナは「うん!」と頷いた。

「俺の名前は如月だ、よろしくな!」

「如月ね?わかったわ!」

ほのぼのとした光景の中で、俺は縮こまっている彼の肩を叩く。

「とりあえず、2人とも危険な人じゃないから、大丈夫だよ。」

「だ、だけど……。」

「とりあえず、そろそろお風呂が沸く時間だから、少し風呂場見てくるからな。」

風呂場に行こうとすると、それを彼が引き止める。

「客人が居るのにお風呂の心配をするのあんた!そ、それよりも、本当に大丈夫でしょうねぇ!?」

「俺がそんなに怖く見えるのか?」

いつの間にかに近くに来ていた如月が彼に話し掛ける。

「へっ?」

彼がその声を聞いて如月の方を振り向いたかどうかというところで、俺は彼の手を払う。

「風呂を止めないと溢れるから、ちょっと行ってくる。」

風呂場に行き、丁度よい高さになったお湯を止め、部屋に戻ると、オネェの順応性の高さを知ることとなった。


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