TAKE12:行き先(6日目)
今日はいつもより早く目が覚めた。
・・・が意識だけ。体が起きない〜・・・。
「よしっ!“せーの”で起きよう!」
グッと拳を作った。
「せーのっ!!」
・・・・・・・・。
体が起きない・・・。
もう少し寝ちゃえ♪♪
布団をかぶり直して目を閉じた瞬間、
「苺―!!起きろぉー!!」
勢いよくドアを開けて入ってきた京介。
元気だ・・・。昨日の自殺寸前とは大違い。
そりゃそうだよね。京介は強いんだから。
「苺!今日は買い物付き合えよな!!」
おいおい、16歳の大の青年が5歳児さそって買い物なんて行くかぁ??
それが表情に出たみたいだ。
「何だぁ〜??行きたくないと?」
杏奈並にすごいねこの人。
だって今日は地上に来て6日目。
もう時間がないのに・・・。京介と過ごす場所が店だなんて・・・。
「ほら!着替えて!」
京介は張り切ってドアを閉めて出て行った。
「〜・・・」
しぶしぶあたしも着替え始めた。
今日はフリルのワンピースー♪
何か杏奈思い出すなぁ・・・。
あ、何で杏奈の存在が消えたのにあたしは覚えているかって??
だって、バレたらこの地上人の記憶から消えるだけって神様みたいなじいさん言ってたしね
ぇ・・・。
着替えが終わると1階へと降りた。
「あれ?兄ちゃん?」
1階には余裕姿で朝食を食べる京介。買い物は??
「あ、ゴメン。やっぱ午後からでいいやぁ♪」
ったく、人を早くに起こしといてなんてこと言うか!!
あ、もう昼にもなるしねぇ。っていつまで寝てるんだろあたしも。
あ゛、そういや京介から買ってもらったネックレスどこだっけぇ??
と、いう感じで正午が過ぎた。
キラキラ光る苺のネックレスを首元にかけて安心する。
“苺”になって丸5日、いろいろなことがあった。
杏奈は消えちゃうし、京介も死のうとした。
あたしの体も死んだ。
せっかくこの7日間生きていたら、“小春”として京介に会えたのに。
「これも全部“神様”のせいだぁ――――――――!!」
“へっくしょん!!・・・誰かわしの噂をしておるな”
「小春―??どうした?神様が何だって??」
京介が苦笑で問いかけてきた。
「えーっと・・・願い事♪」
ハハッ・・・。会ったことあるなんて言えねぇー・・・。
「願い事かぁー」
京介の視線が遠くなった。
どこを見ているのか分からない。
そうだね京介・・・。
神様って不平等だよね。
人なんて幸せにできないよね。
だって今、幸せじゃないんだもん。
ね、神様―――――――――――??
パッとして京介が椅子から立ち上がり、時計を見た。
もう午後2時過ぎになっていた。
「小春、行くか??」
京介の変わらぬ笑顔にあたしは答えた。
「行こう!」
京介の手を引いて、玄関の扉を開けた。