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TAKE1:神様


「ここは、天国への待合室じゃ」

そんな言葉、信じない。


「お前は転生する準備をする」


あたしはあたしだ。もとの“小春”に戻してよ。


広く白い世界で、あたしはおじいさんと向き合っていた。


天国??何であたしがここにいるのよ?


夢でも見てるのかな?


頬を思いっきりつねってみる。


ほら、痛くない。


「死しているんじゃから当たり前じゃ」

あたしはムッとした。


「っ・・・」

あたしはおじいさんに背中を向けて走り出した。


息も上がらない。汗も出ない。・・・おかしい。

何メートル、何キロ走ったと感じても、元のおじいさんの場所に帰ってきてしまう。


夢だ・・・悪い夢を見てる。


死んだ・・・??


あたしは死んだの・・・??


今でも、覚えてる。

あたしの前で光ったライト。

突き飛ばされて空を仰いだ。

頭をひどく打ったと思ったけど・・・。

死んだ?


「あ、あたし・・・死んでるの??」

ひさまずいて聞く。


「ここは天国じゃ。死人が来るところ」


やっていないことがたくさんある。


勉強、親孝行、友達とのお喋り・・・、告白。

まだこれからと思っていたのに、すべて、失った。


「未練があるみたいじゃな」

あたしはうなずく。


「でも、どの道転生するしかあるまい」

おじいさんの言葉はあたしにとっての『心の矢』だ。


「市原 小春。16歳。1992年2月25日生まれA型」

何であたしの個人情報知ってるの!?

おじいさんはあたしの表情を見て何を言いたいのか言い当てた。


「お前の守護霊の情報じゃよ」

しゅ・・・ごれい??


「お前の右肩辺りにいつもおる。日常生活を見張っててくれてその情報を天国に持ってきてくれるんじゃ」

あたしは右肩を見たが何もいない。試しに手ではらってみるが何もない。


「当たり前じゃ。わしにしか見えん」


「・・・あなた、何者ですか?」


「・・・・・・わしか?わしは『神様』じゃ」

かかか、神様!?

神様ってホントにいたの?!


「・・・だからわしじゃて」

人の心読まんといてください。

ちょぴり感動しているあたしに神様は言った。


「中川 京介か・・・」

あたしの肩はビクッと動いた。


「お前、こやつに告白というものをしたかったそうじゃな」

は・・・はい・・・。

そこまで個人情報がもれているとは・・・。


「未練はあるのか?」


は・・・はい・・・。


「よし・・・じゃあお前には特別に奥の手を使ってやろうかのぉ・・・」

神様B5サイズの資料を何度も見た。


「お前、中川 京介の“妹”になれ!!」


は・・・はい・・・・・・はい!?


「7日間お前を中川 京介の“妹”として地上におろしてやろう。今の状態じゃ霊体じゃから普通のやつには見えんが・・・“妹”になれば普通人とも会話ができる」


「いっ・・・妹って、何で京介の“妹“なんですか!?」


「や、ほかのやつがいいんじゃったら変更してもいいんじゃけど」


「やっ、やだ!!」

え、え・・・??京介の“妹”!?

まじやったぁ!!

やっぱ告白しなきゃだよね!?

死んでからこんなこと絶対できないよ。


「ダメじゃ」

へ?


「死んだ人間がまた体をもらって自分の存在をアピールできる。そんなうまい話ないじゃろう」


「え、でも体もらえるし・・・」


「これはあくまで奥の手じゃ。お前が“妹”のまま中川 京介に告白をして市原小春とばれてみろ。そのしゅんかんお前は体ごと消えてここに戻ってくる。そして『無』の門を通らされてこの世にお前がいたという存在はすべて消されてしまうぞ」

あたしの存在が、消える?


「7日間を無事に過ごしたらお前は無事に天国に昇っていける。でも、この奥の手を使用した死者は何人もおるが、無事に天国に昇っていった死者は指で数え切れるほどじゃ」

怖い・・・消えるのが怖い。

でも、京介に会いたい。

会いたい―――――。


「どうするか?」


「・・・神様、あたし・・・」

無事は0でも京介に会いたい。


「京介の“妹”になりたい!!」




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