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ギルドの掃除

そして、みんなをつれて向かった辺境の地、アレスタの第一印象は


「……………荒れ果てるわね」


でした。


「ええ。最近ギルドの冒険者たちが好き勝手暴れているという噂はありますね。」


とエリ。ちなみに私の専属メイドのエリは馬車を乗ることは許されていますが、他のみんなは馬に乗って私たちの前後左右を走っています。


「………お父様が公務でお忙しくてこちらに手が回っていないのね。」


ここ最近のお父様の多忙な様子が頭を過ぎります。


「……盗賊などに出会わなければいいのですが………まあ、ワタルたちがいれば安心でしょう。」


そういうエリの目がギラリと光る。実はエリはメイドでありながら、仕事の合間にお母様、お父様、お爺様、おばあ様へ手ほどきを受けに行っていたようで、評判は三星。最近はお金を払って新しい講師を雇っているようで…………。エリが何を目指しているのか分からなくなります。


「…………………………」


たまに馬車の窓から見えるやせ細った子供の姿。私はこの現状を何とかしなければと決意するのでした。



☆☆☆☆☆☆☆☆



そして、馬車に揺られて三時間(途中であまりにも長い移動時間に痺れをきらした、マリカが馬に強化の呪文を使ったことはないしょです)。やっとギルドに到着しました。


「1階が冒険者用窓口で2階が執務室って聞いてたけど………」


まずギルドのドアを開けると、強いお酒の匂いと不潔の臭いが私の鼻を刺激しました。そして目に入ったのは汚らしい風貌の人達。


「おうおう!綺麗なねぇちゃんじゃねぇか。こんな昼間に俺達になんの…………イテテテ!!」


近くにいた男が話しかけて来ましたが、それをトウヤがひねり潰します。それに警戒態勢になる男達。私は彼らと荒れたギルド内を見て溜息をつき、


「トウヤ、マリカ、ワタル。ここは任せました。」


と3人に告げ二階へと歩き出しました。


「…………うっわ………」


二階は一階よりましでした。さすがの恐れ知らずの冒険者たちも貴族が使用するここへは入ってこれなかったようです。ですが、ホコリをかぶった家具と掃除が何年もされていない床は凄まじいものでした。


「…………お嬢様。ここは私たちにお任せ下さい。」


エリとアイサのメイド組がどこから取り出したのか叩きと掃除セットを両手にさっそくきれいにし始める。シュウはすでに本棚から何冊かの本を取り出し読みふけっている。適材適所とはまさにこのことだわと笑い、私はお父様からいただいた資料を改めてじっくり読むのでした。



☆☆☆☆☆



そうして何十分たったでしょうか。私が読み終えた資料から目を上げた時でした。


「………大変お待たせを致しまして申し訳ございません。お部屋の清掃がすべて完了致しました。こちらへどうぞ。」


部屋は見違えるように変わっており、机にはいつの間に用意されていたのか紅茶とおやつがありました。


「お疲れ様、エリ、アイサ。シュウ!読み終えたところまででいいから本の中身の内容を教えて。」


久々に読んでいない本と出会えて読みふけっているだろうシュウに声をかけましたが、


「…………え?あ、はい!」


既にこの数十分で二つの本棚の全部を読破したようでぼーっと本を積み重ねて遊んでいたシュウでした。そして本の中身を知って、ある程度知識が蓄えられた私は、ふと一階の様子が気になり、エリに聞きました。


「既にそちらの清掃はすませております。あの3人は他にも暴れている冒険者を倒しているそうです。」


よほど煮詰まっていたのだろう、暴れ足りない3人は更に暴られる相手を見つけているようだ。


「アイサ。申し訳ないけど、今から3人のところへ行って暴れている冒険者たちをここへ連れてくるように伝えてきて。」


「はーい!」


アイサはもっていたはわきをポケット(曰くメイドさんポケットは何でも入るのだと)へとしまい、部屋から出ていきました。


「…………さて、まずはこの書類の束をかたづけなきゃね。」


私は綺麗になった机の上にお父様から送られている書類の山を見て溜息をつくのでした。



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