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未来が違う

「ぜんぜん遊びに来ないで、やっと来たと思ったらまさかの査問会。これには肝を冷やしたよ。完全にバットエンドの流れだったもん。でも、本当にその流れだったらあなたはあの場で殺されてるわ。マーダー家の手によってね。あーよかった。」


やはり私が死ぬ展開ってあるのね…。


「…あなたの知っている結末って…」


「バリー商店がどうちゃらはなかったけれど、確かあなたに恨みを持つ誰かが暗殺専門のマーダ―家に依頼して殺させるのよ。それを回避できたとしても、その後の査問会で逆上されたマーダー家に殺されてバットエンドってかんじね。これにはプレイヤーも悪戦苦闘したわよ。だってあなたを助けないとその先のハッピーエンドが迎えられないんだから。攻略条件は確か…襲撃者の全滅。」


「…今回は運よくそれが達成されたのね。」


「だからそうなる前に私に会いに来ればよかったのよ。」


「そんな頻繁に王宮に来れるわけないじゃない。文通だって色々アウトなのよ。」


「私が許可してるから大丈夫」


「白い眼で見られるのはごめんよ。」


「大丈夫大丈夫。あなた結構白い眼で見られるから。でも、不思議なのよね。あなた主要キャラからはあまり嫌われてないのよね。」


………ん?


「何言ってるのこいつ…みたいな顔しないでよ。確かにグリアムからは嫌われてるけどさ。他はそんなことないでしょ? これってなんかあるような気がしてならないのよね。ちょっとエリザあたりが引っかかるのよ。キャラが少しぶれてるような…。」


考え込むアン。


「…考えすぎじゃない? エリザ様はあなたの義理妹となるんだから、警戒しているとグリアム様から邪険にされますわよ。」


すると、顔を歪ませるアン。


「それが嫌なの! なんで相手がエリザなの!? 私そこの推しじゃないというか…。ってか、学園私も一緒に通いたかったっていうか!! あーーー!!!!!」


…アントワーヌ様ご乱心ですわ。


「いちゃいちゃが見たかったのにぃ!! こう学園ならではのレアなシーンもあるのになんで…くっ!! 壁ドンとか、事故ちゅーとかコスプレとか……三角関係のドロドロとか、告白シーンとか…生で見たかったぁぁぁーー!!!!」


…戻ってきてくださーい。


「ってか、普通あんだけ小さいころよくしてやったら、友達の一人や二人紹介してくるもんでしょ!? あんのゆるゆる王子!!!! 私の努力返せ!! アーベルに会わせろ!! ちゅーしろ!!! モブにやられてしまえ!!」


…聞こえません。私は何も聞いていませんわよ。とりあえずこのクッションを投げてみましょうか。


「はっ!? 私今まで何を!?」


…正気に戻ってくれて何よりですわ。


「…アーベルに会いたいのだったら…」


「大丈夫! 私は影ながら応援するタイプだから。」


きっぱりと断られてしまいました。


「そう言えば、あなたライオンの頭部に骨の蛇が巻き付いている印を持った宗教団体についてご存じ?」


「……なにそれ?」


どうやら彼女の知ってるゲームの内容と少々違うようです。


「イレギュラーが多すぎなのよ! 確かに攻略ルートが多いのはこのゲームのいいところよ。でも、攻略に関係ないところは殆ど変わらないはず。どうなってるの?」


混乱しているようです。未来を知っているということは何も利点だけじゃないのね。


「あー!! そんなころころ知らないルートになるくらいなら、推しメンがいっちゃいちゃしてもいいじゃない!! そっちのほうがよりプレイヤーのためになるっての!! もー!!」


また、始まりましたわ。…ストレスが溜まっているのかしら?


「あー! エリザもエリザよ! あんなプライド高いくせに頭が弱い、ちょろすぎ王子よりもふさわしい相手がいるじゃない!! あ、別にそこのカップリングを否定しているわけじゃないのよ? でも…私としては…もっと…こう…。強気でちょっと意地悪なエリザが好みっていうか。いつもはふわふわして害のなさそうな感じなのに、いざ二人っきりになると…みたいなギャップがいいのよねーうん。」


またどこぞやの世界へと…あら、この紅茶美味しいわね。さすが王女様。良い葉をつかっていらっしゃいますわ。


「………」


…おや?急に静かになられました。


「…アル。多分大丈夫だよ。アルは死なないから。アルが死んだら終わりだもん。それは変わらないと思う。…だから頑張ってね」


「…ええ。ありがとうアン。」


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