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ギルドの長となりましたわ

ここで私の世界についてご説明しますわ。この世界にはどこかのゲームのように魔王というものが存在します。私は会ったことなどありませんが、会いたくもありません。見たくもないです。厄介ごとなんてごめんですから。その魔王が現れたのは今から1500年ほど前だと言われています。どこからともなく現れ、恐ろしくも強い力を使い人間の数を900年の間に着実に減らしていったと言われています。


そこで600年前に作られたのが『ギルド』という組織です。これはもともとまとまりのなかった国々を一つの組織とし、対魔王軍としての戦力を維持することを目的としました。まあ結局その魔王を倒したのは勇者と呼ばれた方でしたが。そして平和となり、冒険者をまとめるだけの組織から、今では周辺の街や都市さらには国まで管理する市役所窓口みたいなものになってしまいました。


そんな平民みたいな仕事をなんで貴族の頂点であるシャーロット家が取り締まなければならないのかと思っている方々も多いことでしょう。実はこのギルド、国ごとにこの制度が取られており、三ヶ月に1回国のお抱えギルドたちが会議をするのです。そんな重大なこと他の者に任せるわけにいきません。というわけで、王族からも信頼が厚いシャーロット家に任せられているとまあ、こういうことなのです。


今まではお父様が為されていたことを何故か、私に任せると仰りました。ですが………。


「ギッ、ギルドでございますか!?」


まあ、いい顔はされないでしょうね。実際にこれを聞いたエリの顔は引きつっておりますし。


「ええ。私も驚いたわ。でもお父様の頼みを無下に断るわけにもいかないし……。まあ仕方がないわ。取り敢えずギルドがある街へ向かいましょう。準備おねがいできる?」


「荷物はあらかた必要なものはまとめてあります。」


あら、さすがエリ。優秀な子を持ったものだわ。


「そう。じゃあ………」


私が次に指示しようとしたとき、ノックがされました。私がどうぞと中に入るのを促すと、


「お嬢様!!」


と私が今から呼んできてもらおうとした人がなだれ込んできました。


「あらみんなお揃いで。どうしたというの?」


「どうしたもこうしたもないですよ!セバス様から聞きました!何故お嬢様があの辺境の地へと赴かなければならないのですか!?」


一番最初に聞いてきたのは、エリと同じくメイドのアイサ。この子は接待の担当のメイドで、可愛い赤毛のポニーテールが特徴の少女。


「そこまで聞いているのだったら、知っているでしょう?私はお父様からギルド長に任命されたのよ。」


「いやいやいや!!意味わかんないですって!ウィル坊ちゃんだったら分かりますけど、何故お嬢なんです?」


こちらのお調子者は護衛担当のワタル。金髪の長い髪を後ろで縛っている軽そうな見かけからは想像もできないほどの剣の達人。まあ、幼い頃から天才という名をものにしていた父からびしばしと鍛えられてきているのですから、当たり前と言えば当たり前なのでしょうけど。


「そうです!!ギルドなんて野蛮で下品な奴らが集まるところですわ!今すぐ旦那様に抗議へと行きましょう!」


こちらのふくよかな女性は同じく護衛担当のマリカ。おおきな胸とどこか妖艶な雰囲気を持つ彼女は魔術の天才。マリカは魔術に関しては右に出るものがいないというお母様から幼い頃から手ほどきをうけてました。お母様曰く、マリカほど魔術に愛されている者を見たことがないと。そして、護衛担当の2人は実の姉弟でもあり、抜群のコンビ力を誇ります。


「で、でも……ギルドは大切な組織だよ。それを任せたってことは、旦那様はお嬢様のことをそれほど信頼されているってこと………だと思うな。」


こちらの気の弱そうな少年はシュウと言います。線が細いこの子は中世的な顔立ちをしており、だからあえてわかり易い名前にしました。この臆病な性格と自分に自信の無い彼は、人付き合いが苦手です。私たち以外と話しているところを見たことがありませんわね。だけどこの子は誰よりも知識を持っています。我が家の書物庫の担当をしている彼は、既に何百万冊ものの本を読破しておりますのよ。


「……………シュウの言い分は最もだが…………俺もギルドはやめといた方がいいと思います。あそこの空気はお嬢様には良くない。」


この寡黙そうな子はトウヤ。こちらも護衛担当で、武道でその名を知らぬものはいないと言われているし、剣もワタルに負けないほど強い。トウヤはお爺様が教えているので、お父様とよくワタルとどちらが長けているか言い争いになる。本人達は仲いいのにね。そしてお爺様の受け売りかすごく過保護。


以上この6名が私が幼い頃連れてきた子達。だからずっと一緒に過ごしてきました家族です。お気づきのとおりみんな前世の記憶に引っ張られて付けられました。そんな自分のことのように心配してくれるみんなに私は微笑みながら、それでも真剣な眼差しで言います。


「………けれど、これは他ならぬお父様のお頼みです。従わないわけにはいきません。ちょうどよかったわ。みんなに頼みたいことがあるのよ。私と一緒にこの仕事手伝ってもらえないかしら?」


他にやらないといけないことがあるならそっちを優先してちょうだいというのも忘れず付け加える。


「もちろん手伝うに決まってるじゃないですかお嬢!」


「嫌と言っても一緒に行きますよ!」


「……お嬢様は俺が守ります。」


「手伝えることがあったらなんなりとですわ。」


「ぼ、僕がいるか分かんないけど頑張ります!」


「お嬢様がいるところが私の居場所です」


みんな快く返事してくれ、私は嬉しく感じました。


「それでは、さっそく各々準備して向かいましょうか。」


私の言葉にみんなにやりと既に準備してありますと言います。みんなには私の性格なんてわかりきってますわね。

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