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久々の我が家です。

「あら、アルちゃんじゃない。お義理母様、お義理父様!! アルちゃんが来ましたわ!! マリカもよく来たわね。 …あら? エリたちと一緒ではないの?」


ひと月ぶりお会いするお母様と久々に訪れる実家は、やはりほっとします。奥のほうから、おじい様やおばあ様が顔を出されました。


「今日はどうした? トウヤとワタルは一緒ではないのか。…つまらんな。」


おじい様ががっかりされたように言います。どうやら二人を鍛え直す気だったようです。おばあ様からのお便りによると、最近おじい様は騎士団の稽古を頼まれていて、毎日のごとくしごきに行っているらしいのですが、これがまた厳しく、ついてこられる兵士がいないのだといいます。おじい様が帰ってくるたび、つまらないとこぼしていらっしゃるのだと面白おかしく書いてありました。


「ただいま帰りましたわ。連絡もせずすみません。お父様にお話しがあって参ったのですが、お父様は書斎ですか?」


「おかえり、アルーシャ。ルドなら食堂よ。先に一緒に食べてなさい。私たちはあとで食べるわ。」


とおばあ様。どうやら気をつかっていただいたようです。


「いえ。ちゃんと報告書が届いているか気がかりだっただけので、大丈夫ですわ。」


「じゃあ、急いでアルーシャの分も用意させますね。」


おばあ様が近くのメイドに伝えます。せっかく用意してあるのに直前でばたばたさせてしまい、申し訳ない気がします。すると、それを察してかそのメイドが私の方を見て、微笑みました。


「今日の昼食を作りすぎてしまったので、困っていたんです。私たちはそれを食べるのでご心配ありません。お帰りなさいませ。お嬢様、マリカさん。エリさんやアイサさんはお変わりありませんか?」


「ええ。みんな相変わらずよ。」


私はマリカに休むように言うと、マリカは荷物を持ってそのメイドと一緒に奥へ行きました。


「アルちゃん、今日は泊まっていくのよね?部屋は綺麗にしてあるわ。さあ、行きましょう。お茶会の面白い話があるのよ。」


笑顔で私を食卓へと連れていくお母様。お食事の時には、最近の流行の服や物、王都の状況について聞きました。お母様は今月だけで数十もののお茶会におばあ様と参加されたそうで、この頃貴族たちがそうとう暇をしているらしいとこぼされました。


「アルーシャ。お前の報告書は読ませてもらった。セト様に会ったそうだな。」


お父様が懐かしそうにされ、お母様は目を輝かされます。


「セト様と王妃様とは学園時代の友人なのよ。そういえばずいぶん会ってないわね。元気にしていらっしゃるかしら?」


「デザール王国か。あそこは今内乱中だったな。あまり良くない噂を聞く。」


おじい様が渋い顔をされます。おばあ様にも聞き覚えがあるようです。


「確か、一部の過激な組織がその内乱の発端だとか。内乱がはじまってからはデザールは特定の国以外と交流はしていないらしいですよ。あそこの食べ物は美味しくて美容にもよかったのに残念です。」


「あれほどまで国民に慕われている王家も少なくないというのに内乱だなんて。…フィラオ王家の方々も気が気でないでしょうね。」


「セト様のことだ。色々とお考えになられていることだろう。」


 お母様の言葉にセト様のその側近の方々を思い出しました。部下からも信頼が厚い方のようです。


「…そうですわね。そうそう! ところでアルちゃん。そろそろ王都にもお店を出してみたら? そういった要望もあるでしょうに。」


「ええ。今、考えてはいるのですが…なにぶん従業員が足りなくて。王都で募集をかけることもできるのですが、私としては最初は任せられる者たちでやらせていきたいと考えているのですわ。私がいるアレスタから距離がありますし。まだそのお話は少々お待ちになってくださいませ。」


「アルーシャにそのような才能があったなんて本当に驚いたわ。今の学園は商業についても教えるの?」


「いえ。学園で学んだことはマナーや一般的な知識ぐらいですわ。あとは、魔力や剣の使い方を少々。」


「シャーロット家にそんな才能を持った子が生まれるとはな。鼻が高いな。はっはっは」


「私だけの力ではありません。あの子たちがいなかったら成しえなかったことですもの。」


こんな私に不満一つ言うことなく、ついてきてくれて本当に感謝してますわ。…本当は私のことなんか放っておいて自分のことを優先してほしいと思うのですが…。さて、そろそろこのあたりで切り出しておきましょう。


 「そういえば、ワタルがウィルのことを気にしていましたわ。あの子から何か便りは来たのですか?」


「きてないわ。こちらに様子も伝えないで何をしているのやら。」


「あいつの行動は把握してある。留学先の学校を満喫しているようだ。落ち着いたら連絡もするだろう。」


「…そうですか。」


こうして久々の家族の食事も終わり、私は今日の家族の会話を思い出して一夜を過ごしました。



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