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ギルド長国際会議後

外へ出ると、おひさまはもう真上。午前中に会議が終わる予定でしたが長引いてしまったようです。…会議のほとんど趣旨とは違うお話しでしたが…まあ、他国のギルド長と顔合わせできたことですし良しとしましょう。さーて、お腹もすいたことですし、何かお腹に入れてから宿舎に戻りましょうか。とまあ、私が空腹を満たすためのお店を頭の中で選んでいると、


「アルーシャ君。よければ一緒に食事でもどうかね?」


デザールの現国王様からの直々のお誘いを受けてしまいました。ですが、予定より遅れているということもあり、異常なほどに過保護なあの子たちが探し回って暴れないか心配なところです。私が少し考えていると、気になる視線を感じました。それは国王様の後ろから。デザールの守護神と言われている彼らからです。ひときわ背の高い男に目つきが鋭い男、頭にターバンを巻いている男に何かの動物のお面をしている男というのが四大守護神と言われている方々の特徴ですね。


「ええ。喜んでお受けしますわ。」


デザール王国の王、セト・フィラオ。柔和な顔立ちから想像できないほどの中々の切れ者であり、砂漠の地であるデザールに欠かせない貿易を普及させたのは他でもないこの方。他にも水源を見つけ、人々の生活を安定したものにするなど活躍は絶えません。そんな方がなぜ、自国が大変な時に他国の私に声をかけるのかという疑問の答えはずばり一つしかありませんわね。


「君は若いのに優秀だそうだね。商業ギルドの噂は聞いているよ。まさに画期的なアイディアだ。ギルド会員の人数はアルデヒド王国が断トツだ。さすがムシューだな。あいつもまだまだ現役だということか。おっ、ここにしよう。ここの肉は評判なんだ。」


 ムシューというのは我がアルデヒド王国の現国王様の愛称です。本名はムシューバ・アルデヒド国王様と言います。


 「王。こちらへ」


まあ、当たり前ですがVIP席ですわよね。私あれ落ち着かないので嫌いです。


「…ギルド長様もどうぞ」


私に対する警戒心を隠す様子もなく、セト様の側近の方々は私を見てきます。さきほどから側近からの殺気がちくちくと刺さってくるので、やめていただきたいものです。それは自国があまり芳しい状況ではないということがもろにでていますが、他国の私にそんな弱み見せてもよろしいんでしょうか?


 「すまないね。君も知っていると思うが、身内ごとでね。部下もピリピリしているんだ。この席も私のために用意してくれたものでね。」


セト様が申し訳なさそうに言いました。…私そんなに顔に出てたでしょうか…。


「ああいや。ルドもこの席が苦手だったことを思い出してね。娘である君もそうなんじゃないかなと思ったまでさ。」


…ああ、やはり顔に出ている。帰ったら特訓ですね。


「お父様とお知り合いなのですか?」


確かお父様がギルド長に就任してから一度もギルド長会議は行われたことがないと聞きましたが。


「ああ。他国同士で多少の身分差もあるが、私は彼を友人だと思っているよ。いまでもたまに連絡を取り合っているし、昔はよく二人で飲み明かしたもんだ。」


初耳です。確かにお父様はお酒に強い方ですが、今そんなことをしようものならお母様の怒りの鉄槌がくだりますわね。


「フラーは相変わらず社交界に引っ張りだこのようだね。私の妻が会いたがっていたと伝えてくれ。」


どうやらお母様の方も女王様と仲が良いようです。


「承知いたしました。母に伝えておきますわ。それにしても驚きました。そのような話一度も父から聞いたことありませんから。」


「そうだろうね。あいつは自分のことを話すのが苦手なんだ。それに不器用ときているから、ほんと手に負えない。それに比べ君はしっかりしているよ。私にもね君と同じくらいの年の娘がいるんだが、これがまたじゃじゃ馬でね。」


娘の話になったとたんでれっとした顔をなさるセト様。これは大変溺愛されていますわね。可愛い、まるで天使、変な虫がつかないか心配などということを連発なさっています。


「……これがもう本当にかわいくて、生まれてきてくれた時は本当に天使かと思ったんだよ。あー!変な虫がつかないか本当に心配で心配で。最近目の下には隈ができているし、ずっと何か思い悩んでいる様子だった……あーー!!もし恋心を抱いている相手がいたらお父さんはどうしたら!?」


椅子から勢いよく立ち上がり、頭を抱えるセト様。…少々キャラにぶれを感じた瞬間でありましたが、スルーといたしましょう。でもまあ、それにしても


「王、落ち着い…」


背の高い護衛が慌ててセト様を鎮め、


「これが落ち着いていられるか!あの可愛い俺の天使が素性も分からない男の手に…うおおおお!!!」


「いや、それあんたの想像ですから。とにかくここは王宮ではないんですから、そんな恥ずかしいことしないで下さいよ。」


ターバン男が呆れた顔でセト様を叱り、


「王、姫様が寝れないのは国を思ってのことですよ。って、いたたたた!!!」


ツリ目の男はセト様をなだめ、


「そうですよ王。」


お面の男はひたすら笑ってツリ目の男をバシバシと叩いているという、先ほどの空気から一変し、側近の方々の表情も柔らかくなるという光景。


これがデザール王国の国王、セト・フィラオですか。



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