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私と同じ転生者

「………………え?」


転生者。この世界では聞き慣れない言葉。


「というより、そうとしか思えません。商業ギルドはこの世界には全くない考えですし、それに商品は見覚えがあるものもありますしね。……私の考え、間違ってなさそうですわね。」


「………………ということは、貴方様も……」


「ええ。そう同じ……………転生者ですわぁぁーーー!!!!!!」


いきなり勢いよく抱きつかれました。


「え?え?」

「もう、私どうしようかと思った!!あ、私がそうだと気づいたのは4歳の誕生日のとき。あなたは?」


いきなり口調が変わるアントワーヌ様。


「えっと、私は3歳のころ………」


「同じくらいか!!いやーなんでもっと早く会ってなかったかなー。あ、私が閉じ込められていたからか!!あーもうやだやだ。あ、そうだ!アルはあっちの記憶何歳まであるの?あ、堅苦しいのはやめよやめ。私のことはアンってよんでー!!」


マシンガントークで頬をすりすりされています。


「え?記憶?」

「うん!私ね何故か17歳のころまでの記憶しかないのよ。なんかぽーん!って飛んでっちゃった感じ?いつの間にかその年齢越しちゃいそうなんだけど。まじうける」


けらけらと笑うアントワーヌ様。……うけるだなんて久々に聞きました……


「いやーもう困ったわよ。17歳って言ったらゲーム攻略前だしさー。」


……ゲーム?今聞き捨てならないことをサラリと言われました。


「………えっ!?もしかして気づいてないの!?世界的大ヒットになった恋愛ゲームだよ!?ほら!あの!恋愛したり、戦ったり、愛しの彼と殺しあったりするあの!」


…………なんですか、その怖いゲーム。恋愛するか戦うかどちらかにしたらいいのに。しかも…………その恋愛対象者と殺しあうのですか……。


「嘘でしょ………あなたどんだけ世間知らずのお嬢様だったのよ……。」


そんなにも驚愕されるとは、有名なゲームだったようです。……………どちらかというと、私は貧乏な家のごく普通の女の子でしたわね。


「いいわよ!教えてあげる!ここは恋愛シュミレーションゲーム『いちゃ♡いちゃ、Love♡ Love』略していちゃらぶの世界的なの!貴方はその中で主人公のライバル、アルーシャ・シャーロットなの!」


いっ、いちゃいちゃらぶらぶ!?なんでそんなあからさまな………恥ずかしいタイトルに……


「………私は誰のライバルで?」


「分からないわ。主人公は複数いるの。私でないことは確か。私は物語から排除されているもの。」


「排除?」


「ええ。恐らくゲームの内容を知っているからだと思う。魔王登場なんてシナリオにはなかったもの。」


「だってあなたが魔王の花嫁……」


「違うわよ。魔王の花嫁は別の主人公。誰かは分からないわ。そこまで攻略してなかったもの。」


「特別な力があると……」


「何も無いわよ。あるとしたら、この黒目黒髪とゲーム攻略の記憶があるから未来予知ができるってことかしら。でも確実ではないわね。」


「…………では迎えに来るという話は……」


「来るわけないじゃない。魔王は私になんか興味無いもの。」


きっぱりというアントワーヌ様。


「えっと…では、主人公とその人生についてわかる範囲で教えてくださる?」


「もち。まずは一人目の主人公、あなたもご存知エリザ・ライトニング。ランキングは二位と、なかなかの人気。彼女の繋がりはすごくて、攻略者の多さはダントツ一番。どれを選んでも幸せな未来が待ってるわね。うーんでも私はあんまし好きじゃなかったな。二人目は私、アントワーヌ・アルデヒド。逆に攻略対象は少ないわね。大体は隣の国の王子と結婚するハッピーエンドね。でもこの子だけバットエンドが存在するのよ。魔物に食われちゃったりとか。で、三人目は………」


「ちょっ……へ!?」


食われる!?


「そうそう。だから悲劇のお姫様って呼ばれてるの。あーあ、一番嫌な役割よねー」


………さらりと言いますねあなた。


「………私のことライバルと言いましたが…」


「あ、うん!そうなの。貴方ねなっかなかの性格をしてんのよ。悪役令嬢って呼ばれてたわ。ランキングも最下位。あまり良い評価はないわね。でも私あなたのこと嫌いじゃなかったわ。なーんか一人で頑張ってる感じとか好きだった。貴方はどの主人公になっても、どんな対象を選んでも邪魔してくるのよ。思い出すだけで腹が立ってくるぐらいに鬱陶しかったわー。」


ふんと鼻をならされたアントワーヌ様。


「あ、対象者の話をすると、貴方に関わってる人全てよ。」


……………へ!?


「当たり前じゃない。どの攻略者選んでもあなたが出てくるんだから。あ、あとこれ、BLもGLも入ってんのよ。なんでもありよね。でも、それでバットエンドになったら意味ないと思うけど。」


「どういうこと?」


「対象者(男)×対象者(男)だったり、主人公×アルーシャだったり、逆もしかりね。」


「……………んん??」


なぜそこで私が出てくるのでしょう!?


「あ、私一応ノンケだから狙っても……」

「狙いません!!!!!!!!!」


そ、そんな目でみないでください!!私だってそっちのけはありませんよ!?


「冗談よ冗談。でも気をつけなさいよ。あなた結構知らずのうちにフラグ立ってると思うから。」


「フラグ…ねー。私世間から風当たり強いですからそれはないと思いますが。」


「んーそれはどうかしら。パーティ会場であなたのことあつぅい目で見てた人がいたかもよ。」


「それはないわ。それは好奇の目よ。追放の身の私がなぜこんなところに?っていう目よ。」


にやにやと笑うアン。


「いい加減降りて下さる?アントワーヌ様。」


「あら、私とした者が。アルーシャ・シャーロット様に対してとんだ失礼をいたしましたわ。」


いくらりんご三つ分といわれる淑女の体重でも限界というものがありますわ。


「もうそんなに拗ねないで。ぷっくくく!おっかしー!イメージと全然違ったわ!」


大笑いするアン。


「私は私ですもの。」


「ごめんって。怒んないでアル。」


…………なんだか遊ばれてる感じがしますわ。ですが、やけに楽しそうな彼女の姿と閉じ込められた10年間の彼女の姿と重なり、私は少しいたたまれない気持ちになりました。









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