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お客様の見学会2

そしてそのまま平穏な日常が続くと思っていた………いたのです!


「お嬢様!この商品について○○の貴族様がご要望を述べられていて、至急お願いしたいと」


「お嬢!!△△って貴族野郎が酒飲んで大暴れしてるんだが、どうしたらいいんだ!?」


「大変です!!××区域に魔獣が現れました。至急ギルド要請したいとのことです!! 」


「王族の方がお忍びでお友達とここに来られるようでそのときに……………」


と舞い込んできた一大事に私は一瞬気が遠くなりました。



☆☆☆☆☆☆☆☆



あれから二時間ちょい、俺はこのギルドに驚かされてばかりいた。ここでとられている方針は今まで聞いたことのないものばかりだった。冒険者をギルドの傭兵として雇ったりだとか、住民の戸籍を作ったりだとか。一番驚いたのは、農作物をギルドが率先して作っているということだった。俺がしっているギルドはそんなことしない。メイドに聞くと(メイドは俺と歩いている時ひたすら無言だった)すべてアルーシャの考えらしい。これでたった数週間でこの都市を活気あるものにしたのだと言う。


「………………」


俺はただ絶句するばかりだった。俺は自分の中で頭がいいとそれで他人を見下していた。だが、俺の世界は小さかったのだということを知った。その小さな価値観の中で俺は満足感に浸っていたのだなと。


だが、その考えも甘かったと気づくのはアルーシャの部屋に入った時だった。


「ごめんなさい、リートゥ!夜に必ず部屋にくるから!」


何故か慌ただしい。メイドは様子を聞き、それを聞くと急いで部屋から出ていってしまった。俺は部屋に取り残された。アルーシャは俺がいることに気付かず、ひたすら忙しそうにしていた。



「お嬢様!この商品について○○の貴族様がご要望を述べられていて、至急お願いしたいと」


慌ただしく入ってきた執事服の若い男はアルーシャに資料を手渡した。


「………………これは…………こっちはどうにか出来ると思うけど……………これは…………浴槽を溶かしてしまうわ。それだったらこっちをつかって匂いを良くして。」


何やら入浴剤というものでの要望らしい。


「はい!」


満足そうに出ていく男。と思ったら次は剣を持った男が来た。


「お嬢!!△△って貴族野郎が酒飲んで大暴れしてるんだが、どうしたらいいんだ!?」


△△って…結構位の高い方じゃないか!?


「あー!ハメを外した貴族様ね。…一応話に応じられるか試して。無理だったら強行手段をとって持ち上げてそのまま宿舎へ強制連行ね。」


「よしっ!任せとけ!」


出ていく時にその男と目があい、なぜお前がここにいるんだみたいな顔をされた。


「大変です!!××区域に魔獣が現れました。至急ギルド要請したいとのことです!! 」


魔物<魔獣<魔王。大体分けるとこんな感じだ。そんなものが近くに…。


「至急ギルドでAランク以上の者を集めて退治に向かって。その書類貸して!!…………………………よし!これも一緒に持って行って!お金を倍払ってもらえるよう書いといたから。」


「よっしゃ!みんなに伝えてきます!!」


そいつはスキップをしながら部屋から出て行った。そして次のやつは真っ青な顔でゆっくりと入ってきた。


「王族の方がお忍びでお友達と二週間後ここに来られるようでそのときに…桜を降らせたいということで………桜の木を所望されていますが………」


……………グリアム様方だ。グリアム様はエリザ様のために行き先行き先素晴らしいものをみせてくれる。それはグリアム様がやっているものとばかり思っていたが…………いやそんなわけない。彼は一国の王子だが、普通の学生である。一人で全部していたなど、どんなやつでさえ無理に決まっている。……………俺は…………今まで何を見てきたのだろうか…………。


「…………季節外れに桜の木なんて無理に決まってるでしょ。二週間後………その日は確か……………魔術中等学校の行事でうちに修学旅行で来ることになってたわよね。そこで生徒達に発表会として花の幻影を見せていただけないか頼んで。引き受けてくれたら、商品20%引き券を生徒+教師全員にプレゼントするからって。」


「は、はい!!」


…………すごい。俺は素直にそう思った。次々と難問をこなしていくアルーシャに父上以上のものを感じた。


「…………ん?」

「…………あ」


そして背伸びをしたアルーシャの目が俺へと止まった。



☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆



驚きました。気がついたら呆然とこちらをみているんだもの。幽霊かと思いました。


「どうかなされましたか?」


そう聞くと、


「い、いや………今日はその…………忙しい中見学させてくれてありがとうな。アルーシャ。」


………耳を疑いました。なんなのでしょうこの変容ぶり。何か悪いものでも……………はっ!?まさか………マリカが、幻覚でも見せて精神に支障をきたしているのでは…………。


「………それで……………」

「お嬢様ァァァァァ!!ダメです!!全員やられて戻ってきましたぁぁぁぁ!!」


いきなりドアが開いたかと思うと、半泣きの連絡係が入ってきました。その言葉に仰天しました。


「Aランク以上が!?資料と違うじゃない!!情報は的確に書いてくれなきゃ困るわ!!仕方ないわね、マリカ、ワタル、トウヤに討伐命令を出して。今頃うずうずしているはずだから。」


「はいいいいいい!!」


多分その許可を取りに来たのだろうなと私は紅茶を啜りなら思いました。………ん?紅茶?


「…………その………お疲れ様。」


何故かキュリオス様が私に紅茶を入れてくださりました。もう理解不能で頭が追いつきません。


「す、すみません。お客様にこんなことを………」


「い、いや!元はといえばこちらが押しかけてきたのだし…………」


………貴方は一体誰なのでしょう


「あ……そのアルーシャ。美味しいかな?」


「………………ええ、ありがとうございます。キュリオス様」


取り敢えず微笑んでお礼を言います。しかし、頭の中は混乱です。もし精神に異状をきたしていたらバグータ様になんと言おうということを考えていました。


「失礼いたします、お嬢様。」


入ってきたのはエリ。エリはキュリオス様を見て顔をしかめました。


「本日はお疲れ様でした。」


「リートゥは?」


「リートゥ様はおやすみになられてしまいました」


あー、でしょうねと苦笑いする。


「あの………アルーシャ。」


「はい、キュリオス様只今馬車を………」


「あ!違うんだ!その………明日から俺もここで寝てもいいか?」


「へ?あ……はい。それではリートゥ様のお隣をご用意させていただきます。」


「あぁ。ありがとう。それで、明日もその………色々教えて貰ってもいいかな?」


ありがとうとキュリオス様が言ったことでぎょっとするエリでしたが、さすがはエリ。顔には出しません。


「はい。ですが、私が教えることなど些細なことでございます。」


「いや!そんなことない!アルーシャはすごいと思う!いやすごい!」


……………………本当に大丈夫でしょうか?

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