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なんつうか僕が担保ですか?

 本当に成長するにしたがって、いろんなことを知るわけだが。

 赤ん坊だから主に乳母さんたちの噂話なので、どこまで本当かはわからないけど

貴族や王族としてそれはどうなのって感じだ。

 前世の知識がなければ危うく洗脳されるだろうけど、前世でブラック企業で世間を渡ってきた経験からすれば、それはどうなんだろうかと言う話が多い。

 まあ、おばちゃんの世間話なのだから信憑性には欠けるわけだが、ここがおとぎ話のような世界でイージーモードであればいいけれど、そうでなければなんか嫌な予感がするんだよな。

 早く動けるようになって、いろんな情報収集したい。

 

 そう思ってるんだが、またまたキモイ舞踏会につれてこられました。

 僕は豪華なゆりかごで、乳母さんや近衛兵と共に、拷問のようなコメディアンショーを見さされております。

 動けないから嫌でもいないといけないんだよな。

 最近はもしかしてここは人間界でなく魔族の世界ではないのかとか思うほど、貴族の恰好がひどい。

 前世でもコスプレーヤーと言う人達はいたけど、あれはやっぱ似合う人ががんばってやってた。

 ここはどうなんだ。

 似合う似合わないにかかわらずに、みんな似たような魑魅魍魎のような奇天烈な格好で、ひどいのになるとおじいさんが白塗りかべで、笑うとひび割れるんですけど?

 若干何名かが志村けんのバカ殿っぽいんですけど?

 はじめはコントか祭りかと言う感じで面白かったけど、ずーっとこんな調子で、おまけに実親も平時こんな感じな上に、香水がきつすぎて鼻がおかしくなりそう。

「おお、なんと賢そうなお顔でしょうか、素晴らしい」

 ゾンビの群れかこれはーと思うような老人たちが俺を取り囲む、コワいー。

 顔近づけてくんな。

 そろそろ、顔見せもいいよなと思い。

 大声で泣いて見せる。

 そうすると乳母が回収してくれるのだ。

 初めの数回は長時間がんばってしまったが、こうやって泣いたりすればすぐに回収してくれるので、一定時間たつと泣いてます。

 

 しかし、王族、貴族ってこんな毎日くだらないことしててやってけるもんなのかな。

 ブラック企業で働いてた平民の僕としては金持ちの世界がわからないので、なんというか是非を唱えることはできないわけだ。


 今のとこ心の支えはおじいちゃんしかいない。

 僕の母は絶望的なんだけど

 おじいちゃんは違った。まともだった。

 はじめは普通の騎士の恰好なので、護衛の人かと思ったら、母親の実父でなんとアラフォーの赤毛で赤ひげのイケメンです。

 どうも祖母は亡くなってるらしく、祖父ががんばって母を育てて、第二王妃に(あんまり王妃にしたくなかった様子)と嫁がせたわけだけど、母親とは意見が合わないようだ。

 それに宮廷の貴族とか乳母さんの評価がひどい。

 蛮族だの野蛮だのとか言われる始末。

 いやいや、爽やかな美丈夫ですよー、ゾンビか吸血鬼のような王様とは隔絶したオーラがありますよ。

 本当にここの国の価値は僕とは合わない。

 何年かしたら、僕も白塗りされてバカ殿のコスプレさせられるんだろうか

 鬱でしゃーない。


「現状が分かっておいでなら、陛下をおいさめするべきではないですかな」

 今日は僕の顔を見に祖父と母が来てます。

 なんかゾンビ(母)に対抗する冒険者(祖父)に見えなくもない。

「それは、でも、陛下もお考えがあってのことと思いますし」

 さっきから祖父と母が言い争ってますけど母は王妃なので自分の娘でも敬語って難儀なと言うか、何気に大事かな。

「お考え?魔が襲来したら世界を守る勇者として、聖典のエドワード殿下がお立ちになる。だから国政はせず、民はその時のために王宮に血税を飢えても差し出せと言う考えですか?」

 うん?なんか僕に関係してるような言語が聞こえたような。

 それに、民が飢えてとか、なんかやばいような。

「民も分かってくれます。魔が襲来すればすべては虚無に還ると言う予言もあるのですから、それを防ぐ我が息子エドワード殿下や陛下に対して献上できるのは、喜び以外の何ものでもないのですから、勇者のいない他国からも献上品が届いておりますから、公のおっしゃるような懸念はありますまい」

 一瞬祖父のこめかみが引きつったあと、絶望的なため息を吐いた。

 いやー我が母ながら屑っぷりがすごいわ。

「このような考え方をするように育てたつもりはありませんが、致し方ない。ただ私はエドワード殿下の祖父として、殿下を捨てゴマにさせません」

「何をおっしゃるの?エドワード殿下は陛下のあとを継ぎ、この国の王になられるのですから、懸念は無用です」

 祖父はまたため息をつき

「それまでに国が持てばですな」

 などと言いながら退出していきました。

 我が母と言えば。

「お父様は昔から心配性でこまるわ」

 

 なんというか衝撃的な会話。

 つまり、我が国は経済的にどうやらピンチらしい。

 そりゃ毎日舞踏会だのパーティだのしてて、金がどっからわくのかと言う話ですよね。

 そして、その金をブラック企業よろしく民から搾取したうえで。

 僕の存在を担保に金を他国からもたかってると言う。

 おいおい、他力本願もいい加減しろーつうか、なんかいろいろやばい国だよね

 気持ち悪い感じと言うのは当たりだった。

 もう魔王か魔かなんか知らないけど生まれたばかりの僕が討伐確定だし。

 僕はこんなんで幸福になれるんでしょうか

 

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