八
遅くなってすみません。
こんな、ペースで続いていきます。
高い木造の家に囲まれ、太陽の光が遮られた路地は薄暗く、肌寒い。
表とは違う雰囲気が漂っている。
一歩足を踏み入れると、まとわりつくように殺気が満ちてくる。
昔の懐かしさと、どこからかで血の匂いがするのは変わっていなかった。
一歩一歩踏みしめるように歩いてく。
記憶の片隅にある、あの家を思い浮かべ。
奥へ行くにつれ、昔の自分が戻ってきた気がした。
よみがえってくるのは、鮮血の飛沫とと金属の打ち合う音。
鮮明な映像が脳裏に浮かぶ。
また昔に戻る・・・・。
後悔はしていない。
気づくと、見覚えのある一軒家に着いた。
そこだけは、他とちがって異様な雰囲気を醸し出していて、普通の人間ならまず近づかない。
私は、なんの躊躇もなく戸を開けた。
閑散としている家の中は、うす暗くはっきりとは見えない。
だが、奥に誰かがいるのは感覚で分かる。
ゆっくりと敷居をまたぎ中へ入った。
「親父さん」
声をかけると、奥で何かが動いた。
ひときは鋭い視線を感じる。
それは、私の心の中を突き刺すように、きりきりと痛めつけてくる。
「ハルだよ」
そう名乗ると、突き刺すような視線は消えた。そして、低い落ち着いた声が戻ってきた。
「久しぶりだな。こんな所に何の用だ」
「あいさつに来たんだ。こっちの世界に戻りに来たって」
「なるほど。こっちへ来い」
言われるがまま、奥へ進む。
視界がはっきりしてくると、濁った紫の着物を着た老人が目に入った。
手には更かしタバコを持っている。長年使っているせいか、装飾は剥がれ、色はあせている。
昔と、変わらない。その目つき、風貌。体中から放たれる殺気は、近づくたび威圧を増してく。
彼は、殺し屋界随一の腕利き。
一度、受けた仕事は必ずやり遂げるという強者である。
白い着物をまとい、狙った獲物は確実に仕留める姿から「白鬼」として恐れられていた。
仲間からは、「劉」と呼ばれていたが、今では、その名で呼ぶ者もいなくなった。
現在も、現役として働いている。
唯一、変わった所と言えば、白髪が増えたくらいだ。
「親父さんは変わらないな」
「お前も変わらんな。表へ出れば表情くらいは豊かになるだろうと思ってたが・・・・・。その様子じゃ、笑った事がないだろう」
深いしわのある顔が笑う。だが、目は鋭い視線のままだ。
「まあね」
改めて部屋を見渡すと、何もない。殺風景な部屋だ。
こんな、親父だからやたらと物を置きたがらないのかもしれないし、仕事柄似合わないのかもしれない。
「笑えない娘が、向こうでやっていけるのかと思ったが、案の定無理だったようだな」
タバコから煙が上がる。
「お前、ヤクザにバレかけたらしいじゃないか」
「なんだ。知ってたのか」
さずが、殺し屋のトップを張るだけある。この街を手の中で転がしてるとは、嘘じゃなさそうだ。
いろいろ、修正しました。




