二十四
月明かりの下、暗い闇に溶け込むように狼
-狼と呼ばれている男―
が歩いていた。
手にはまだあいつの温もりが残っている。
思わず抱きしめてしまったその体は、あまりにも細く、今にも崩れてしまいそうなほどやわらかかった。
あの細い腕で刀を振り回し、手を血で染めているとは考えられなかった。
「あいつが蓮魅なのか・・・・」
光を宿していない瞳、白い肌、薄く赤い唇。
死に急ぐあいつの顔があまりにも母親に似ていた。
だから、抱きしめてしまった。
「変なことしちまった。あの商人の店も壊しちまったし、これじゃ怒られるだけじゃすまねぇな」
そう言ってる男の顔は、言葉とは裏腹に笑っていた。
「あいつはこれから生きるだろうか」
夜空に浮かぶ月を見上げ、そうつぶやく。
しかし、その瞳に月は写っていなかった。
「いるんだろ?出てこいよ」
そう男が言うと、暗闇から覆面をした忍者が現れた。
「主がお呼びだ」
「わかってるよ。これから行くところだ」
「なら早く来い。それと、頭からの伝言だ。準備は整った、だそうだ。では、私はこれで」
そういうと、忍者は暗闇の中に消えていった。
「俺もそろそろ準備をしないとな」
男は闇に向かって走り出した。
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