二十三
イサクの作った朝ごはんを食べ、部屋に戻り着替えをすませた。
昨日の戦いのおかげで着物はところどころ破けてしまっていた。
体中には痣がいくつかできてたが、明日には消えているだろう。
蓮魅であるおかげで、体は丈夫にできている。だが、けがをするたびに人並外れた回復力を目の当たりにすると自分が普通の「人」ではないことを思い知らされる。
着替えを終え居間に戻るとイサクが心配そうにこちらを見てきた。
「けがは大丈夫か?」
「こんなのいつものことだ。それにすぐ治るのをお前も知ってるだろ」
いつにもなくイサクが心配するのが気持ち悪かった。
「なあ、やっぱりあっちの世界に戻るのはやめろよ。お前には刀振り回してるよりも、団子やで茶でもつぐほうが似合ってるよ」
「無理だよ。これは宿命なんだから。蓮魅に生まれたからには、死ぬまで血塗られた刀を振り続けなきゃならない」
イサクの言葉に、昨日の男の顔を思いだした。
あの時のあいつの顔は、今のイサクみたいだった。
「これから出かける」
「出かけるって、その傷でどこ行くんだよ」
「おやじの所だ」
「おやじさんなら、昨日のことは耳にしてるはずだ。わざわざお前が行かなくても」
「確認したいことがあるんだ」
イサクをみると、どうやら引き止めるのは無理だと思ったのか、行って来いよと手を振っていた。
「絶対に帰ってくるんだぞ」
「わかってる」
「日が変わる前には家におれよ」
「・・・・お前はいつから私の保護者になったんだ」
いつもと違うイサクに調子が狂う。
ここまで心配されると馬鹿にされてる気分だ。
「お前は、私の心配なんかよりも豆腐の心配でもしとけ」
そういって、まだ何かを言っているイサクを置いて家をでた。
そして、町の大通りに向かって足を向けた。
イサクにはおやじの所に行くといったが、もちろんそんなのはただの口実。
おやじの所に行くと言えばイサクが行かしてくれると思ったからだ。
イサクは私とおやじの関係を実の親子のように思っているから。
でも、実際はおやじは仕事を振り分ける上司で、私はただの下っ端にすぎない。
強いていうなら、おやじは私の師匠だが。
師弟関係など、ただ次の世代へ殺しの術を伝えていく手段に過ぎない。
そう、私は、殺しのために作られた兵器だ。
パソコンの都合上、蓮魅の表記を変えました。




