十九
ベタな展開に自分がついていけなくなりました(笑)
いったいどれだけそうしていたのか。
長くも短くも感じられた。
私は我にかえり、とっさに男を突き飛ばした。
「な、何するんだっ」
男は、しばらく黙っていたが、何かを話そうとして口を開いたが、結局喋らなかった。
そして、そのまま夜の闇に溶け込むように駆けて行った。
「なんだったんだ・・・・・・」
一体、俺は何やってるんだ。
腕には、まだあいつの体温が残ってる。
「母さんに似てるだけで・・・・・・」
それ以外は、全く違うのに。
あいつを生かしたくて、わざと殺さなかった。
あの夜、顔を見てすぐに分かった。
母さんの生まれ変わりだと。
確信はないけど、そう思った。
もう二度と失いたくないから、だから今日助けた。
なのに、それをあいつは、自分で死ぬと・・・・・・。
「どうしてだよ。なんで、また俺の前から消えようとするんだよ」
見上げた夜空には、欠けた月が鈍く光っていた
あの男、何がしたかったんだ。
助けたと思えば、殺すといいだし、抱きしめ、しまいには逃げるようにいってしまった。
考えれば考えるだけ分からなくなる。
「イサクなら分かるかもしれない」
身近に聞けそうな人物を頭の中で探し出し、思いついたのがあの無精髭のアホ面だった。
「まずは帰らないとな」
傷だらけの体を動かし、欠けた月の光を頼りに歩き出した。
「にしても、ここどこだ」
家(というかは寝るだけの場所)に着いたのは明け方近くだった。




