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蓮鬽  作者: 夏月晴
15/27

十五

熱く熱せられた鉄の塊に金槌が打ち付けられる音が、リズム良く鳴り響く。

熱気に満ちた部屋の中で、店主が刀を作っていた。


その一振りに、店主の魂が込められているかのようだ。

やがて、鉄の塊がスラリとした刀に変わっていく。

命を宿したように光る刀が出来上がっていった。


その過程を戸口の側で見ていた。


ここの店主、凛が打つ刀は蓮鬽から信頼を得てる。

それだけ、腕が良いのだ。

女でいて、江戸一番の刀打ち。

刀狩りのご時世にこうやって、刀をつくれるのもその腕があってのこと。

幕府から直属の命により、幕府専用の刀を作ることを任されたのだ。

しかし、その裏では私たちの為に刀を作ってくれている。

だから、私たちは同じ刀をもった人間と戦っていることになる。


凛の本当にすごいところは、個人の能力に合わせて、最大限の力を発揮できる刀を作ることだ。


作業を終えた店主がようやく私に気がついた。


「なんだ、来てたのか」


「相変わらずいい刀を打つね」


「そうかな。それよりも、復帰おめでとう」


「ありがとう」


彼女には一人だけ助手がいる。

名前はコウ。


背が低い、まだ私よりニ、三歳年下の男の子だ。


「コウは?」


「買い出しに行かせてるよ。こっちも終わったし、あんたの刀でも作るか」


凛は材料が積まれている棚に向かった。


「あんたのとこの親方から頼まれてるよ。どんな刀がいい?」


「少し軽いのがいい」


「強度は前より低くなるけどいい?」


強度が低くなるのは避けたいが、仕方ない。

もし、今度またあの男にあったらもっと速く動かないといけない。

そのため、刀を軽くしなければいけなかった。


「いいよ。あと、聞きたいことがあるんだけど」


「何?」


凛は材料を選ぶ手を止めず話してる。


「このくない見たことない?」


それは、昨日あいつが使っていた物だった。

何かヒントにならないかと、念のため持ってきておいたのだ。


凛はくないをじっくり見た後、横に首を振った。


「これ。前に親方も見せてくれたよ」


「親方が?」


「うん。だけど、見に覚えはなかったんだけどね」


「そうか」


「話は聞いてるよ。狼だっけ?あんたも気をつけなよ」


「うん」


「それじゃ、打ってくからそこら辺で見といて」


凛に言われた通り部屋の隅に移動すると、やがて鉄を打つ音が聞こえてきた。




「ハルさん、おはようございます!」


声がした方を見ると、コウが立っていた。


「おはよう」


「刀作りに来たんですよね。あれ、それは?」


コウの視線の先を辿ると、手に持っていたくないだった。


「これのこと?」


「はい。それと同じ物をさっきも見かけたんです。ハルさんも買ったんですか?」


偶然というべきなのか。

しかし、手掛かりをつかめた事には間違いなかった。


「どこで見たの?」


「表通りの、傘屋の横にある路地の所です」


「近いな…。凛私言ってくる」


「わかった。だけど、見るだけよ!もしかしたら、狼がいるかもしれないし。それに、あんた今丸腰だからね」


「わかってる」


「刀は、出来たらコウに届けさせるよ」


「ありがとう。それじゃ」


私は、くないを着物の中に入れると走り出した。






展開が、速いかも…。


毎回ご愛読ありがとうございます!


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