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第8話 アイドルたるもの
そこへ口笛吹きながら歩いてきた夢藤雅樹。このいざこざに出くわす。眺めていたエロ動画のスマホを後ろポケットにねじ込み、慌てて二人を制止する。
「なにやってんだ! やめろやめろ!」
「うっせえ!」
慎之介が雅樹を押しのける。所属事務所では喧嘩は御法度。コンプライアンス違反だ。だからリーダーの雅樹は必死になって治めようとするが、その肩書には何の機能もなかった。
7人を詰め込んだハイエースの車内。メンバーは互いにそっぽ向いていた。慎之介の鼻には黒く血に染まったティッシュが詰められている。運転席。飯倉は誰かと話している。
「・・・はい。承知しました。申し訳ございません」
通話が終わり携帯電話を耳元から降ろしてから飯倉は前を向いたまま言った。
「社長が後日、話したいとのことだ」
局で起きたトラブル。後手に回ってはいけないと思い、飯倉はまず社長に一報を入れておいた。
「いったい原因は何だ? 何が発端だ?」
自分に向けられたと思い慎之介が呟く。
「そんなの一言では説明できねえ」
「どうしてだ?」
「話すと止まんなくなる」
飯倉は厳しい表情で全員を諭した。
「言っただろう! アイドルたるもの、いかなる時も笑顔でいろと。互いを信頼しろと」
「無理っすよ、そんなの」




