第4話 アイドル不況時代
『J×MAP』はリーダーの夢藤雅樹をはじめ、飛柳拓海、赤澤慎之介、茜詩郎、葉室剛士、伊馬且延の6人で構成されるアイドルグループで、全員がカウボーイ事務所に所属している。ここの所属タレントの多くは小学校時代からオーディションを受けており、親同伴で熾烈な戦いを勝ち抜いてきた美少年ばかりだった。なかにはオーディションなどすっ飛ばし事務所からダイレクトスカウトされる優れ者もいて、そういった少年は決まってすでに売れているグループのバックダンサーに抜擢され、そのすぐのちに選りすぐりのエリートたちだけでまた別のグループを結成していた。
『J×MAP』の6人もオーディションを知らない。事務所の社長、ジョニー喜多村が直々に次に活躍しそうな少年たちを選び、グループを結成させた。当時この事務所で最も売れていた『輝GENKI』のバックを務めさせ、のちに『J×MAP』として独立デビューさせた。しかし、『J×MAP』は売れなかった。容姿もアイドルとしてのタレント性も決して他に劣ってはいなかったが、タイミングが悪かったのだ。
彼らがデビューした頃の芸能界は謂わば、アイドル不況の時代。偶像まで行き着かぬイメージのなかで、俄か仕込みの歌を、踊りを、演技を、芸事にならぬまま電波に流していた。これに人々は辟易していた。彼らには中身がない。見かけばかりだ。それならば、自分で自分をプロデュースできるアーティストや、芸事を極めた漫才師や噺家の方がずっと面白い。彼らは流れを読むのがうまく、即興で番組にフィットしたアクションを放り込める。だから制作者たちはアイドルより芸人を重用し、番組を構成した。理由は簡単、そっちの方が視聴率を稼げるからである。




