第24話 証拠は?
「この日の出演は夢藤雅樹氏と飛柳拓海氏だけ。あとの4人は別の日に出演して皆それぞれ60万円がカウボーイ事務所に振り込まれています」
「雅樹と拓海の出演料も60万円いただいてますけど」
メイコの苛立つ表情を小坂部は無視して続けた。
「しかし、NKHはこの日のカウボーイ事務所のタレントへの出演料と思われる支払い1000万円を計上している。だが、カウボーイ事務所は120万円しか計上していない。おかしいですよね? 差額880万円はどこに行きました?」
「うちが受け取ったのは二人分120万円だけです。それ以外いただいてません!」
メイコの怒りは収まらない。
「それに、1本のギャラで500万円支払ってくれるところなんて聞いたことがありませんわ!」
小坂部はメイコの照り輝いている真っ赤なくちびるを黙って見つめた。弁護士の仲道が問う。
「ここのところ内訳が3つに分かれていますね、これはどういうことですか?」
和田が答える。
「N202番組に関わる経費として出演料の他、広告宣伝費として450万円、交際費として430万円が計上されています。これら合わせると1000万円になるということです」
「なるほど。で、その広告宣伝費と交際費が政治資金パーティー券購入に充てられたのではないかと検事さんたちはお考えなのですか? 証拠がおありなのですか?」
小坂部が自信ありげに言った。
「実はですね、そのお金、つまりNKHから出た880万円とちょうど同じ金額が自由民新党の最大派閥安西派の政治資金パーティーで受領されているんです、5日後に。パーティー券の購入者は立石健三氏。この方はNKHの初代会長のお孫さんです。しかも立石氏は自由民新党の緒沢議員と同郷で小中高が同じ、緒沢議員が初当選した後もしばしば二人は会っている。緒沢議員といえば放送事業に通じたいわゆる旧郵政省から続く郵政族だ。緒沢議員が大量のパーティー券を買ってくれた見返りに立石氏になんらかの恩義で返そうとするのは想像に難くない」
水無月はたち
1964年大阪下町生まれ。同志社大学経済学部卒。現在、大阪の某大学勤務。
優しい奥様と独立独歩した我が子たちだけが自慢。
-筆歴-
2023年4月 『戦力外からのリアル三刀流』(つむぎ書房)発刊
2024年3月 『空飛ぶクルマのその先へ 〜沈む自動車業界盟主と捨てられた町工場の対決〜』(つむぎ書房)発刊
2024年7月 『ガチの親子ゲンカやさかい』(つむぎ書房)発刊
2025年7月 『いまじゃ 殺れ 信長を』(つむぎ書房)発刊
2026年3月16日 『神より選ばれし偶像たち』(つむぎ書房)発刊
※当作品は100%作者の手で作り上げた不完全なヒューマンドラマです。AIの力は全く借りておりません。つづきはこちら↓




