第21話 疑惑
新潟での集団自殺を調べていくうち、東京地方検察庁検察官検事、小坂部和樹はある疑惑を掴む。それはある時から『J×MAP』のタレントを起用する際のギャランティ、いわゆる出演料の支払いが不明瞭になっていることだった。
千代田区の東京地検本庁一室。小坂部はある書類を眺めながら首を傾げていた。
「わからんな・・・」
首を傾げるのは『J×MAP』6人のテレビの出演料、その授受についてだ。
「どうして夢藤雅樹と飛柳拓海だけ口座支払いじゃないんだ?」
小坂部の指摘するとおり、6人のうち夢藤雅樹と飛柳拓海を除く4人の出演料はカウボーイ事務所の指定口座に振り込まれているのだが、夢藤雅樹と飛柳拓海だけは額は同じになっているが銀行口座でなく、ただ受領とだけ書かれている。
「これは本人への手交ということか?」
書類を作成したのは副検事の和田彰良だ。和田はその点について調べていた。
「出演者本人へのギャラの手渡しは禁じられていますので、それはないと思います。ですが、この場合、いくらの金額がどうやって受領されたのかが明確ではありません」
小坂部の目が険しくなる。
「許されんだろそんなこと」
和田も険しい表情で頷く。
「もちろん、よろしくありません」
「だったらなぜ?」
「ひとつには、芸能人のギャラにははっきりとした契約が存在しませんから、いくら払うかはタレントによって異なります」
「そんなことはわかっている。だが、彼らのような超売れっ子は1本あたりのギャラは相場でだいたい決まっているだろ?」
水無月はたち
1964年大阪下町生まれ。同志社大学経済学部卒。現在、大阪の某大学勤務。
優しい奥様と独立独歩した我が子たちだけが自慢。
-筆歴-
2023年4月 『戦力外からのリアル三刀流』(つむぎ書房)発刊
2024年3月 『空飛ぶクルマのその先へ 〜沈む自動車業界盟主と捨てられた町工場の対決〜』(つむぎ書房)発刊
2024年7月 『ガチの親子ゲンカやさかい』(つむぎ書房)発刊
2025年7月 『いまじゃ 殺れ 信長を』(つむぎ書房)発刊
2026年3月16日 『神より選ばれし偶像たち』(つむぎ書房)発刊
※当作品は100%作者の手で作り上げた不完全なヒューマンドラマです。AIの力は全く借りておりません。つづきはこちら↓




