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第12話 わきまえろ!
言ったのは慎之介。
「このなかには、人を虚仮にして楽しんでるやつがいる」
喜多村の鋭い視線は何故か慎之介を通り越して、拓海の頭上を通過していた。
「虚仮にする?」
視線はUターンして慎之介に戻ってくる。
「それは、自分に実力がねえからだろが!」
拓海が氷を打ち砕くような尖った声を発す。
「プロとしての意地がねえんだよ、てめえには!」
慎之介が荒い鼻息を吐く。
「それだよそれ! 何様のつもりかね、あんた!」
「てめえなんざ、必要ねえんだよ!」
「なんだと、この野郎!」
堪り兼ねて飯倉が制止する。
「バカもの! 社長の前だぞ。わきまえろ!」
メイコが溜息交じりに言う。
「あんたたち、喧嘩する年齢とっくに終わってるでしょ!」
喜多村が一転、平和的な表情を見せた。そこには地雷が隠されている。
「聞いてはいたが、これほどまでとはな」
雅樹がとりなそうと試みる。
「い、いえ社長。こいつらちょっと疲れてんですよ。こんなの一時的なじゃれ合いみたいなもんですから。ご心配なく」
慎之介が頭を振る。
「一時的なじゃれあい? バカいうな!」
飯倉が止める。
「もうよせ、慎之介!」
「俺は事実を言ってんだ!」




