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⑩花嫁の標本~宇宙人の侵略~  作者: 邑 紫貴


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2/7

の(繋ぎ短編)

『トリセツ』

登場人物:朱莉沙ありさ孝彬たかなり


何度か、してしまったキス……

受け入れている自分が怖い。

理解できない。

一緒に住むしかない状況で、彼は私にそれ以上は触れない。

ただ侵食するようにキスを落とす。

逃げられない崖へと突き落すように……

見つめる視線は、鋭く逸らすことができない。

何故……ドキドキするの?

流されたらダメだ、これ以上!!


私は講義が3コマ目なので、それまでの時間、家にポツンと独り。

彼は、朝から高校へ行った。

宇宙人らしいが……年下(?)。

恋愛に慣れていないと、私に不器用に近づいてくる。

それも罠なのかな、感覚が狂う。


机にも、ポツン……分厚い本が置かれている。

存在を示すように、私に何かを訴える。

確か孝彬は、あれを見ながらキスがどうとか……言っていたような??

表紙には、『標本:朱莉沙の取り扱い説明書 著:朱莉沙の父』

……完全にふざけてる!あの、おやじぃ~~??

本を開くと、びっしりと並ぶ文字……事細かに……


「朱莉沙、何を見てるの?」

【びくっ】

体が跳ねる。

気配のない後ろからの声と同時で、抱きしめられた。

【ふぅ~】

首元に かかる風。

「ひゃぁ??」

くすぐったくて、そこから逃れようと抵抗を試みる。

しかしビクともしない。

彼の腕の中、伝わる温もり。

同じ石鹸を使っている私とは違う匂い……ドキドキする!!

「ふふっ……のぞき?それに触れると、信号が送られるようにしてたんだ。ね……俺の事、知りたい証拠だよね?嬉しい。先に進んでも良いってこと、だよね?はぁ……息が苦しい。ねぇ……キス、して?」

耳元で、囁く低い声。

いつもより熱を帯びて私に伝わる。

キス、して?していい?じゃなく??

「む、無理ぃ~~~~!!」




『バレンタインとは?』

視点:孝彬たかなり


この星には、色々なイベントがある。

愛を育むには、命を懸ける Or 削ってでも、参加すべきだと……教授の本に書いてある。

地球人は、大変なんだな……

これは、標本との重要ポイント。

上手く行けば、かなり美味しい思いをするらしい。

美味しい??食い物か何かが関係するのか??

よく分からない……標本に依存しよう。


2月14日。

朝、朝食を整えた朱莉沙。まだ、ぎこちないような気がする。

「朱莉沙?」

「なっ何ぃ??」

……おかしいなぁ??

キスの回数は、増えている。拒絶もない。

時に、見つめる視線でキスをするが……

あれ?思い出したら、嬉しい気がする??何だろう……?

この、くすぐったいような……幸せ……

「孝彬?」

【キュンッ】

胸に響く声……

誘われるように、視線を向けた。

「何?」

「何って、自分が先に呼んだんだよ??」

そう言えば、そうだった。

今日は、チョコをくれるはず。

催促すべきなのか?それとも、くれた時に驚いたふり??

黙って、見つめる俺に首を傾げる妻……

まさか、忘れているとか?夫婦には、関係ないイベント??分からない……

「あ、あぁ~~の、これ!言っとくけど、義理だからね?意味なんて、ないからね??夫婦って言っても、……違う 何を言っているんだ?私は……とにかく、遅れそうだから……先に……」

チョコ、俺の……

イベントには、命を削る覚悟で!!!!

【がばっ!!】

「ぎゃぁあああぁああ~~~~????」

床に押し倒した。

「なっ??何、ちょっ……うわぁああぁ~~~ん!!!!まだ、ダメ!んんっ??」

唇を重ね、抵抗する両手を捕らえる。

唇を強く押し当て、そっと目を開け見つめる。

「……んっ……んん……ぁ……」

頬が赤らんで、息のあがる朱莉沙は色っぽい……

「ね?頂いても良い??」

「……ダメ……遅れちゃう……から。」

「俺の事だけを考えて……俺だけを見てよ。朱莉沙……良い?」

「……ダ……メ。」

朱莉沙の抵抗のない手を解放し、俺の自由になった手で胸に触れた。

【びくっ】

「……ぁ……」

「柔らかい……触れても良い?」

「もう、触った……のに。イヤ……」

「嘘だ……だって……ん?あぁ!ここじゃ、ダメだよね。お風呂でイチャイチャが先だ!!」

さっきまでの朱莉沙は、どこへやら。

冷めた視線で、俺を見る。

そして、震えながら目を吊り上げ叫んだ……

「い、いい加減にしなさぁ~~い!!」

顔を手のひらで押し退けられ、腹に一撃をくらった。

……これがイベント。

さすが……地球人……命を削っても、こなさないといけないとは……奥が深い。

また、愛が育まれたんだ。

戦利品のチョコは、甘くて何かが満たされた気がする。

それなのに、物足りない。

教授の嘘つき……美味しい思いをしたけど、がっかり感が多いよ?

「……ね、孝彬?」

「何?」

【チュッ】

……え……?

頬に、朱莉沙からのキス。

「殴って、ごめん……深い意味なんてないからね!!!!」

……美味しい想い……






企画で書いた感謝短編と、バレンタインもの。

文字数の関係で、ここに投下したけれど時系列は違う気がする←


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