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作動しない転移陣


 『――全ての英知よ、集え。そして、全ての民の不安を取り除くために、潜在意識下で影響を与え続けよ。さすれば、この国の平和は保障されるだろう』



※※※※※



 殿下と旅に出かける約束をした翌日に、私は学校へ休学届を提出した。こういうものは早い方がいいと思ったし、決心が鈍る前に書きたかったのだ。


「え? 転移陣が作動しない?」


 しばらくすると冬休みが終わって、私と殿下は学校で理事長室へ呼び出されていた。理事長の他には、オリバ先生も傍にいてコンラッドも入り口付近で私達の話を聞いていた。


「ええ、冬休みが終わる前に私から陛下へ報告したのです。そしたら、詳しい話を聞きたいと仰って、転移陣のある場所へ一緒に行ったのです」


「もしかして、教会の裏にある転移陣ですか?」


 私がオリバ先生に質問すると、彼女は頷いていた。


「そうです。発動しなかったばかりか、光ることもありませんでした」


「あの、オリバ先生。あの転移陣以外には――」


 私がオリバ先生に他の転移陣のことを聞こうとすると、オリバ先生は首を横に振りながら言った。


「近くにある他の転移陣を全て試してみましたが、駄目でした。後日、陛下と私が試しに別々に行って、もう一度やってみましたが、それでも駄目だったのです」


「そんな――それでは、どうやって他国へ向かえというのだ」


「殿下、発動しないものは仕方ありません。今後、どうするべきか一緒に考えましょう。国内で環境破壊を理由に、採掘されていない鉱山がいくつかあったはずです。そちらで封印されていた石と同じ石を探しながら、他国へ行く手段が他にないか探してみましょう」


「……はい」


 理事長室を出て殿下と一緒に歩いていると、コンラッドが追いかけて来て私達の傍へ来て言った。


「なんだか、大変なことになりましたね」


 コンラッドの言葉に私は何と答えていいのか分からなかった。


「他国へ行くなんて話、知りませんでした。僕に何かできることがあったら言ってください」


「え? ええ……」


 コンラッドは私に微笑んだ後に、殿下に一礼していた。


「コンラッド、友人であるレイラを気遣ってくれてありがとう」


「いや、そんな――僕はこれで」


「ありがとうございます」


 私がお礼を言うと、コンラッドはこちらへ向けて手を振っていた。


「また明日!」




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