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石を探す旅へ

 今度は殿下と私の二人だけで行って、賢者セルスに詳しい転移方法を聞いた。ついでに、どこに石があるのかも聞きたかったのだが、セルスは何も知らないという。


「困ったな……」


 どこへ行けばいいのか分からないとあっては、行っても無駄足になる可能性が高かった。しかも、石が欲しいと言って、譲ってもらえるとも限らない。それが他国ならなおさらだろう──学園の中庭へ戻ってくると、どういう訳か、先生達は見当たらなかった。校舎へ戻ろうとすると、殿下が独り言のように呟いた。


「転移魔術が使える人は、この国に三人しかいない。オリバ先生に頼んで、可能性の高い国へ探しに行ってみるしかないだろうな」


「ラインハルト様、一年ごとに封印するのは駄目なのですか?」


「それだと、君にお願いすることになってしまう。被害を出さずに、毎回必ず撃退できるとは限らないと思うし、この国の王子として、いつ来るか分からない見えざるものの手を、一年ごとに封印する方法は認められないよ。この国の未来のためにも――今は、石を探したい」


「分かりました」


 頼りにされていないのかと、少し落ち込みそうになっていたが、そういうことではないのだろう。ラインハルト様の意気込みを見ていたら、私も頑張ろうという気持ちになった。


「レイラ。全て解決したら、私と結婚して欲しい」


「……はい」


 殿下の決意した瞳を見ていたら、口先だけではない誠意みたいなものを感じていた。私の言葉に驚いたのか、殿下は目を丸くしている。そっと私の手に重ねられた手からは、温もりが感じられた。この手を離してはいけない――何となく、そう思った。


「レイラ」


「殿下……」


「どうかした?」


「いいえ。何でもありませんわ。石を見つけて全て解決したら、のんびり出来る場所で、ゆっくりしたいです」


「……そうだね」


 もし旅に出るとしたら、生きて帰れるか分からない旅になるだろう。この先、何が起こるか分からない。旅が終わった時に何もかもが、嫌になってしまうかもしれない。この先の未来なんて、誰にも分からないのだ──そんな私の心配を余所に、学園では春風が優しく吹いていた。




お読みいただき、ありがとうございます!!

第一部は、ここまでになります。

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