封印されていたもの
お父様はものすごく驚いていた。来年になったら再び行方不明者が出るのではないかと、今から気が気じゃないだろう。
「義父上、対処法を探しに今から王都へ戻ります」
オリバ先生の話では、地下遺跡に出てくるセルスと話せるのであれば、問題は解決するのではないか――という話だった。セルスから上手く聞き出せればいいのだが、何事も上手くいくとは限らない。
「ラインハルト殿下――あなたを信じよう。娘をよろしく頼む」
「何があっても、レイラを守ります」
殿下の真剣な様子に、お父様も納得したのか、魔術陣の側から離れた。
「いきます」
オリバ先生が呪文を唱え始めると、石碑の側にある魔術陣が光り始めた。白い光に包まれながら、私達は王都へ戻ったのだった。
※※※※※
私達五人は王都にある教会の裏へ転移した後、殿下が予め用意してくれていた馬車で学園へ向かった。学園にいた学園長に許可を取ると、さっそく遺跡へ向かい、縄ばしごを使って井戸へ降りた。前に来た時と同じように、遺跡へ向かう。
「すごい、本当にセルスがいるのですね」
セルスがしゃべり出すと、オリバ先生は涙を流して感動していた。まるで、推しにあったファンが、感動して泣いているみたいだった。現代の賢者セルスが、幻みたいな過去のセルスに感動する場面に違和感を感じながらも、私はオリバ先生へ聞いた。
「今まで賢者セルスと話せた方は、いらっしゃらなかったのですか?」
「私が調べた限りでは、いなかったようですね。聖女と国王が結婚したのは、今から11代前ですし、その頃は『見えざるものの手』の攻撃は、なかったのでしょう」
「いや、私が聞いた話では、見えざるものの手には代々王家が苦しめられてきたと聞いているが――」
殿下の話にオリバ先生は眉を顰めると思案顔で言った。
「それは口伝ではありませんか? 時代の流れと共に、ある時から受けるようになった攻撃を『昔からあった攻撃』に、どこかで切り替わってしまったのではありませんか?」
「そんな――確かに、口伝と言われれば、否定できない部分はあるが」
「そなたらは、わしの話を聞く気はあるのかい?」
賢者セルスは、私達の話に慣れてきたのか、今では私達と会話をしていても、違和感のない喋り方になっていた。
「賢者セルス。話が脱線してしまって、申し訳ありません。それで、その――石碑に封印されていた『何か』について、お答えいただくことは可能でしょうか?」
「可能であるが、可能でない部分もある」
「お話しいただけますか?」




