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石碑

 新しく覚えた聖魔術を『見えざるものの手』へ向かって放つと、それは大きな光の束になって敵を捕らえ、更に遺跡にある石碑へ攻撃を続けた。


「石碑へ? 一体、どうなってるんだ?」


 殿下が驚いていたが、その間にも光は辺りの闇を巻き込みながら遺跡の石碑へ向かい、石碑に彫られた文字の中へ消えていく──敵の攻撃が無くなり、静まりかえると、オリバ先生が遺跡へ近づいていった。


「オリバ先生!」


 私が心配になって叫ぶと、フィリップが前へ進み出た。


「大丈夫だ。私も一緒に行こう」


 二人が魔術陣の側にある石碑に近づいていくのを見守っていると、オリバ先生の驚いた声が聞こえた。


「みなさん、大丈夫です。見えざるものの手は、遺跡に封印されたようです」


「「え?」」


 私と殿下が石碑へ近づいて行くと、そこにはいつもと変わらない石碑が建っていた。ただ、前に見た時には感じられなかった魔力が、そこにあるということだけが分かった。


「確かに、先ほど攻撃を受けていた時と同じ魔力を、石碑の中から感じます」


「レイラ、本当かい? 私には分からないよ」


 殿下は驚いたように、傍にいたフィリップを見た。


「私にも分かりません。見えざるもの手は、この石碑に封印されたということでしょうか?」


「おそらくは、もともとこの石碑の中に封印されていたのでしょう。それが、長年の風化によって石碑が崩れ、中に封印されていたものが(まろ)び出たと考えるべきでしょう」


「そうか――何だったか、セルスが言っていたな」


「え? セルスって、あの賢者セルスですか?」


 驚いているオリバ先生に、私達は井戸の先にある森の遺跡の話をした。


「ああ、あの遺跡の言葉は、誰にも聞き取れないのですよ。遺跡の存在に気がついた先代理事長が、森の中に結界を張りましたが、その頃から森に忘れ草が繁殖してしまって、近づきづらくなってしまったのです」


「……」


「安易に生徒が近づかないように、『井戸に幽霊がでる』などという噂を流して、遺跡に人を近づかせないようにしていたのですが」


「先生、聞き取れないというのは本当ですか? 私達には、普通の言葉に聞こえましたが……」




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