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想いの先に

 攻撃を何回も躱している内に、辺りが明るくなってきた。朝靄も薄くなり、相手の攻撃が分かってくるようになったが、身動きがとれないこの状況からは、現状を打破することは叶わないと思った。


(力尽きたら終わりよね、これは――)


 悪役令嬢と瓜二つのモブ令嬢に転生して、どういう訳か悪役令嬢のポジションに収まったあげく、殿下の婚約者になった私は、前世よりいい人生を送れただろうか――この世界で出会った様々な人たちの顔が脳裏を過った。


 いい人生だった――そう思った瞬間だった。


「ウォールプロテクション!」


 目の前に大きな土壁が現れ、私は目を瞠った。私が後ろを振り返ると、そこにはオリバ先生と殿下がいた。それからフィリップも。


「間に合いましたね、殿下」


「ちょうどいい機会だ。見えざるものの手を仕留めよう」


 彼らは私達の間に入ると攻撃を続けていたが、途中でフィリップがマイクとボブの存在に気がつき、ユン兄を引きずって遺跡の先にある道まで運んでくれた。


「レイラ、大丈夫?」


「大丈夫じゃ、ありません。殿下、どうしてこんな危ない所へ来たのですか?」


「何故って、レイラの領地で行方不明者が出たって聞いて、いても立ってもいられなくなってさ──抜け出してきたんだよ。最近、レイラの様子も、おかしかったし、何かあるかもしれないと思って……」


「まったく――殿下は、レイラ様のことになると、言いだしたら聞きませんからね」


 そう言ったフィリップは、こちらを見るとウインクをしていた。いや、今この状況でスチルと同じ顔をされても困るのよね。


「オリバ先生まで」


「私は学園を出ようとする殿下を止めようとして、馬車に飛び乗ったのです。旧友の息子を危機にさらす事なんて出来ませんからね。結局は、こちらへ来ることになってしまいましたが――間に合ってよかったです」


 オリバ先生は、攻撃を躱しながらも他の二人を凌ぐ攻撃を続けていた。現代の賢者セルスの二つ名は伊達じゃない。まだまだ余裕のオリバ先生の攻撃に見惚れていると、殿下が私の側へ来て手を差し伸べていた。


「立てる?」


「レイラ様、私もいつまでも攻撃を続けることは出来ません。立ち上がれますか?」


 オリバ先生にそう言われて、私は我に返った。


「はい。私、まだ死ねません!」


 前世では、生きたくても生きられなかった。自分の命が尽き果てるのを、ずっと病室で過ごすのは何だか哀れだったし、両親に迷惑が掛かるからと、外に出たいとか余計なことは言えなかった。でも、今の自分には人を助ける力がある――そのことに、改めて思い至った私は、力の限りに叫んだ。


「レスレトリバリ!」




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