表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

90/217

幻影

 気分は落ち着かなかったし、食欲もなかったが、部屋で軽食を食べて横になっていると、いつの間にか眠ってしまっていた。


 真夜中になって目を覚ました私は、外が暗くなっていることに気がついつて、カーテンを閉めるために立ちあがった。


 いつもはベイルが閉めてくれているのだが、屋敷の中ではメイドが担当になっていたはずだ。お互いどこまで担当すればいいのか分からなくなってしまい、閉め忘れたのだろう。


 前にも一度こういうことがあったので、私は何も考えずにカーテンを閉めるために窓際へ寄った。


「えっ、ユン兄?」


 窓の外には、ユン兄の姿が見えていた。ユン兄は、こちらへ向かって手を振ると、屋敷の外へ向かって歩いて行ってしまった。


「どこへ行くの?」


 私は不思議に思いながらも上着を羽織ると、屋敷を出てユン兄の後を追った。フェル兄から屋敷を出るなと言われていたが、この時の私は正常な判断が出来る状態では無かった。


 屋敷の入り口まで行くと、ユン兄は何故か屋敷の外へ出ていた。屋敷から出てはいけない――そう言われていたのを思い出したが、ユン兄の姿を見たら、自分でも気がつかないうちに走り出していた。


「待って!」


 私は見失わないように、必死にユン兄の後を追った。だから気がつかなかった。いつの間にか、自分が屋敷の外へ出てしまったことや、遺跡の近くへ転移してしまったことさえも。


 ユン兄の後を追っている内に、気がついたことがあった。ユン兄は私の前を走っているのに、何も音がしないということだった。真夜中の静けさの中には、私の足音だけが響いていた。


 その上、この時期には珍しく森には霧が出ていた。濃い霧に気を取られていたせいか、走り続けているうちに、遺跡に近づいていたことに気がつかなかった。


「ユン兄!」


 一心不乱に走っていたが、ユン兄の姿は、いつの間にか霧の中に消えてしまっていた。


「どこなの?」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ