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ユン兄

 次の日の朝になっても、行方不明になった人達の手がかりは見つからなかった。それどころか、また人がいなくなって、大騒ぎになっていた。


「ユン兄は、まだ戻って来てないの?」


「レイラお嬢様、ユング様は朝早くに出掛けられました。じきに戻ってくるでしょう」


 ミカエルの話を疑っているわけではなかったが、昼過ぎになっても戻ってこない兄様が心配になって、私は玄関のロータリーに出て、兄様の帰りを待っていた。


「ユン兄……」


 一緒に出掛けていた村の人も、玄関に集まって、どうしたものかと額を寄せ合って話し合っているみたいだった。ロータリーに馬車が一台入ってきて、ユン兄が戻って来たのかと思い、走って行ったが、馬車から出てきたのはユン兄ではなく、お父様だった。


「レイラ、無事だったか?」


「私は無事です。それより……」


「ああ、ユングだろう? 話は聞いている。遺跡に通じる道を見に行った後に、行方が分からなくなったと」


「遺跡? なんでまた、そんな危険なところに、兄様は行ったのでしょう」


「ユング様は、きちんと道が封鎖されているか、もう一度確認しに行くと行って、それきり姿が見えなくなってしまいました。護衛としてついて行くと言ったのですが、見に行くだけだからと言って、先に一人で行ってしまわれたのです」


 私達の話を聞いていたのか、自警団を取り仕切っている団長のハンスが、憂い顔で私達の隣に立っていた。きっと、ユン兄の帰りを待っているのだろう。ハンスは農民であったが、腕っ節が強いのを見込まれて、農家の仕事と自警団の団長を兼任していた。


「そんな……」


「ユング様をお守りすることが出来ず、申し訳ありません」


「ハンス、君のせいではないよ。ユングが一人で突っ走ったのだろう? 仕方がないさ」




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