ポプリ
「私のオリジナルなので、そう付けさせていただきました」
「いい匂い」
「私の好きな匂いの花を集めて作りましたの」
「レイラ様って、こういうのが作れるのね。私は全然出来ないから、羨ましいわ」
私は、唐突にこの間行った雑貨屋を思い出していた。前世で病気がちだった私は、こういった小物作りが得意だった。前世の知識を生かせる事なんて何も無いと思っていたが、こういった癒やしのアイテムは、この世界にも必要だと思った。何より色んなポプリがお店に置いてあったら楽しいだろうな、と思った。
「アイラ様は、ブランドショップを開くのが夢なんですよね?」
「そうですけど」
「こういった雑貨を、お店の隅に置いてはもらえないかしら? 売り上げは寄付するとかにして――」
「この商品、売ってくださいますの?」
「ええ。でも利益を得るとか、そんなことは考えておりませんの」
私は冬休みの間に行った、雑貨屋の話をした。彼女は興味津々に話を聞いていたが、やがて行ってみたいと言い出した。
「それでしたら、テストが終わった後に一緒に行ってみませんか?」
「いいですわね。テストの後は、セルクも休みですし、偵察に行くには、ちょうどいいかもしれません」
「偵察なの?」
「いずれ同業者となるわけですから、ライバルですわ──偵察です」
「ふふっ、アイラ様は変な所にこだわりますよね」
「レイラ様に言われたくないですわ」
「え? どういうことですか?」
「そのままの、意味ですわ」
私の間の抜けた受け答えが可笑しかったのか、アイラは腹をかかえて笑い出した。笑っているアイラを見ていたら、何だか私も可笑しくなってきて一緒に笑った。
「朝からどうしたの? 何か悪いものでも食べた?」
遅れてやって来たリトッシュに突っ込まれるほど、私達はしばらくの間、笑い合っていたのだった。




