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ダンスレッスン

 城へ着いた翌日、再び王妃教育を受けようと講義室へ向かうと、オリバ先生が私の家庭教師に戻って来ていた。彼女は働き過ぎだと思う。


「オリバ先生、学園は?」


「学園が休みの間の仕事は、他の先生に任せてきました。私にはレイラ様を一人前に育てるという、使命がありますので」


「──そうだったのですね」


 いつも以上に張り切っているオリバ先生に引いてしまったが、私はマナーやダンスレッスンを上手くこなせるように、いつも以上に努力を重ねた。


「レイラ、レッスンは終わった?」


 城に帰っている間は公務で忙しいと言っていた殿下が、午前中のマナー講義の後に部屋へ来ていた。


「あとは午後のダンスレッスンを受けたら終わりですわ」


「そう? じゃあ、ダンスの見学をしながら待っててもいい?」


「ラインハルト殿下、見学などと言わずに一緒に踊ったらいかがです? 今のレイラ様なら殿下と踊っても見劣りしないでしょう」


 オリバ先生に言われて嬉しかったのか、殿下は顔をほころばせた。


「いいの? 嬉しいなあ。レイラはそれでいい?」


「えっ、はい。よろしくお願いします」


 昨年から身長が伸びた私は、殿下の身長との身長差が20センチになっていた。一緒に踊っても問題のない背の高さになったとは思う。


「レイラは綺麗になったよね。放っておくと誰かに攫われてしまいそうだ」


「──ご冗談を」


「冗談じゃないけどね」


 差し出された手に手をのせると、私は殿下にエスコートされながら、席を立った。ベイルが慌てて私の荷物を持ちながら後をついてくる。


 ダンスレッスン室に着くと、殿下は私の手を取ったまま膝をつき、私の手の甲にキスを落とした。


「……」


「私と踊っていただけますか?」


「ラインハルト様、もちろんです」


 殿下は立ち上がると私の手を取って、ワルツの音楽に合わせて踊り出した。殿下に合わせて踊っていたが、時どき殿下が「かわいい」とか「好きだよ」と、耳元で囁いてくるので、何度もステップを踏み間違えそうになっていた。


(殿下は他の人が何を言っても、私がちゃんと踊れるか試しているに違いないわ――これは訓練よ。正気を保たなきゃ、呆れられてしまう)


 途中からはステップに集中しすぎて、殿下が何を言っているのか分からなくなっていた。


「レイラ、今日のレッスンは終わりだって先生が」


「ら、ラインハルト様。私はちゃんと踊れていたでしょうか?」


「うーん、30点かな?」


「さ、さんじゅう……」


 肩を落とす私に、ラインハルト殿下は言った。




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