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自習時間

「ミーアのこと? 今日の課外授業で何とかなるように殿下にお願いしてみたけど――どうだろう? 仲直りできるかどうかは、五分五分かな」


「ラインハルト様に何を言ったの?」


「たいしたことは何も。ただ、フィリップ様の記憶があやふやになってから、行動がおかしいとか──それ以外は、何も言ってない。あと、フィリップ様がミーアに求婚したみたいだとは言ったけど」


「じゅうぶん、言ってるじゃないの」


「貴族が、平民であるミーアに求婚すること自体がおかしいんだ。しかも公爵令嬢の護衛だよ? 公爵家にケンカを売っていると捉えられても仕方がない」


「もしかして本当にケンカを売ってるとか?」


「まさか。そんなことをしても侯爵家は何も得しない。でも、少し前に揉めてたな。国の──土地の権利書だったかな。同じ物が何枚も出てきて、どっちがどっちの土地か分からなくなって、少し前に揉めてたって父上が言ってた」


「何それ?」


「昔の国政は杜撰だったらしいから。侯爵家と公爵家の領地の境目にある土地の権利書が一部重複して発行されていたんだ。話し合いで解決したらしいんだけど、結局は土地管理課に顔の利く公爵家が少し得をしたって聞いたよ。それでなくても、アイラ様の父君は宰相だから、みんな頭が上がらないのさ」


「そんな」


「だから、フィリップ様がミーアに求婚するってカルロス侯爵が聞いて、当てこすりでも良いから公爵家に復讐したいって──そんな風にカルロス侯爵が考えていても、ちっとも不思議じゃないかな」


「リトッシュは、すっかり元に戻ったみたいね」


「え? 何が?」


「この間、井戸に行ってから少し様子がおかしかったから心配してたのよ。ぼーっとしてることが多かったっていうか」


「そうだな。このところ、意識が朦朧とすることが多かったんだけど、フリップ様の話をレイラ様から聞いて、ふと我に返ったというか何というか……」


「とにかく、元に戻ったのなら良かったわ」


「え、あ、うん。心配してくれてたんだ? ありがとう」


「当たり前じゃない。私達、友達でしょう?」


 そう私が言った瞬間、リトッシュは固まってしまっていた。


「振られてしまいましたね」


 気遣ったのかベイルが、リトッシュに声を掛けていた。


「ベイル、黙っててくれ」


「ふふ、申し訳ありません」


「悪いと思ってないだろ」


「私はあくまでお嬢様の侍従。お嬢様のためにしか動きません」


「利己的」


「何とでも」


「何を言ってるの? 二人とも、様子を見に行くんじゃなかったの?」


 私とリトッシュの間で、学園を抜け出してA班の様子を見に行こうという話になっていた。本来なら校則違反に当たるが、人手が足りなくて、自習を監督している先生もいない──今なら、こっそりA班の職業見学を見に行っても、誰も気がつかないだろう。




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