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行方不明

 放課後になっても、話題は球技大会の話で持ちきりだった。どんな時に球を見つけられたとか、見つけられなかったとか、そんな話だ。教室の扉が開いて、何気なく振り返ると、そこには青ざめたコンラッドが立っていた。


「コンラッド様?」


「父上に、競技大会の事を聞こうと思って、理事長室に行ったんだ。そしたら先客がいて――ドアが少し開いていたから、聞いてしまったんだ」


「聞いたって、何を?」


「リトッシュのことだよ」


「リトッシュ? リトッシュ様がどうしたの?」


「行方不明らしい」


「え? でも昨日は確かに――」


 そう言いかけて、私はアイラと顔を見合わせた。


「「井戸!」」


「井戸?」


「昨日の球技大会で、レイラ様とリトッシュ様にばったり出会って、調べていない場所は何処かって話になったの。それで、リトッシュ様が井戸を見てくると言って――」


 私が一息にそう言うと、コンラッドが興奮した様子で詰め寄ってきた。


「それは、本当?」


「ええ。その後、リトッシュ様が井戸へ行ったのかは分からないけれど、最後はバラバラに解散になりましたし、まさか学校の敷地内で行方不明になるとは、思ってもみませんでしたわ」


「探しに行ってみよう」


「え、井戸へですか? 私達だけでは危険なのでは?」


 ミーアが髪を揺らしながら、首を傾げて言った。ミーアに見つめられていたコンラッドは、赤くなってしまう。


「いや、中へは入らないよ。ひとまず、様子だけでも見に行こう」


 そう言ったコンラッドと共に、私とベイル、アイラとミーアは井戸へ向かった。フィリップは生徒会でラインハルト殿下の護衛があるからと言って、教室を出るとそのまま生徒会へ向かった。


 この学園は、正門までの道は整備されているが、四方を森に囲まれている。森との境目が、ちょうど結界との境目になっており、学園の井戸はギリギリ結界内だった。生徒が幽霊を見たとか、不審者がいたとか──あまり、よくない噂話を聞くことも多い。


 中庭の先にある井戸には、トタン板のような素材で造られた井戸屋形がついていた。井戸の周りは、もともと湿っぽかったが、日が傾いたことにより、より一層陰りを見せ、陰鬱とした空気を生み出していた。


「ここです。リトッシュ様を最後に見たのは──この辺りだったと思います」




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