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試合終了

「アイラ様にレイラ様――ミーア殿も」


 そう言ったコンラッドの手には小さな球が握られていた。光を失った球は鉛のようにも見えた。


「コンラッド様が見つけられたのですね」


「ああ。ここを通りかかった時、違和感を感じたんだ。これを引き剥がしたら案の定、球が入ってた」


 コンラッドはそう言うと、理事長室の前にある壁に掛かった絵を取り外し、額縁の裏板を外した。


「額縁は同じなのに、中の絵が他の絵と違って、少しずれているような気がしたんだ」


 裏板の中には2つ絵が入っていた。手前にあるダミーの絵の方に少し破れた後がある──つまり、裏板との間に球が隠されていたのだ。


「お手柄ですわ。これで、普通クラスが見つけられなければ、私たち特進クラスの優勝ですもの」


「まだ10分もあります。アイラ様、気を引き締めてください。戦場では、油断したときが一番危ないです」


 ミーアに言われて、アイラは渋い顔をしていた。


「ここは戦場でなくってよ」


「まあまあ。ここは、油断せずに探してみましょ。まだ、この近くにあるかもしれませんし……」


 私がそう言った瞬間、終了のホイッスルが聞こえた。試合終了を伝えるアナウンスが聞こえる。


「普通クラスに1点追加! ここで試合終了となります。116対116で両者引き分けです! 今年の球技大会は大接戦でした。特進クラスの皆様、普通クラスの皆様、お疲れ様でした」


「……」


「……」


「あれ? 終わったの?」


「みたいですわね」


 開会式はあんなに仰々しく、立派な式だったのに、こんな形で終わるとは思ってもみなかった。何だか拍子抜けだ。


「あれ? 殿下?」


 球を片付けるために、コンラッド達と入り口のボックスへ向かっていると、前方からラインハルト殿下が歩いてくるのが見えた。殿下は王族として開会式に出ただけで、社会人クラスには球技大会がなかった──おそらく今日は、普通の授業を受けていたのだろう。


「アイラ様、そう言えばリトッシュが井戸に行ってから、帰って来ていませんね」


「そうね。でもアナウンスも流れたし、放送を聞いたら帰るでしょう」


「それもそうですわね」


 ラインハルト殿下は私達の元へ来ると、嬉しそうに私達と挨拶をかわした。


「引き分けだったんだって? 惜しかったね」


「ええ。残念でしたわ」


「今日は、もう終わりなんだろう? 生徒会は休みだし、寮まで一緒に帰ろうか」


「はい」




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