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接戦

「困りましたわね――私はもう一度、校舎の中を探してきますわ」


 アイラは、そう言うと校舎のある方へ走って行ってしまった。


「お気をつけて」


 日が傾いてくると、影が伸びてきて、私は影になった部分を見ながら、もう一度中庭にある日時計へ近づいていった。三角形のようなオブジェがついた丸い形をした石碑のようなそれは、影を伸ばし、先程までにはなかった部分に影を作っていた。


(何かしら?)


 影が出来たことによって、石碑のひずみに穴があるのを見つけた。小さな穴だったため、指では触れることが出来ずに、私はポケットに入れていたペンを取り出すと、そのへこんだ部分にペンを差し込んだ――すると、石碑の横にある石が外れて、中から虹色の球が出てきた。


「うそ?」


 中から転がり出てきた球に手を触れると、虹色の光は失われて普通のボールへ戻った。


「特進クラス、追加1点で同点に追いつきました! 残り2つ。さあ、今年優勝するのは特進クラスか、はたまた普通クラスか。接戦です!」


 私が球へ触れると同時に、校内へアナウンスが流れた。どういう仕組みになっているのかは分からないが、球へ触れた人物を判別し、得点が加算される仕組みになっているようだ。驚いてしばらく立ち尽くしていたが、ふと我に返り、一度校舎へ戻ろうと思った。


「ベイル、行くわよ」


「分かりました」


 近くを捜索していたベイルに声を掛けると、ベイルはうなだれた様子で戻ってきた。


「見つかりませんでした。さっきのはレイラ様が見つけられたのですか?」


「そうよ。日時計の中に隠されていたの」


 ベイルは私の手の中にある光を失った球を見ていた。


「校舎の入り口に、見つけた球を回収するボックスがあるでしょう? そこへ一度行こうと思うの」


「かしこまりました」


「学園なんだから、かしこまらなくてもいいわよ」


「──分かりました」


 私達は校舎の入り口へ向かい、机の上に置いてあるボックスへ球を入れた。すると、その隣に掲げられていた得点表の文字が変わって、115対115になった。このボックスへは見つけてから30分以内に入れる決まりになっている。


 入り口から校舎の中を見ると、アイラが廊下の奥へ向かって歩いて行くところだった。


「アイラ様?」


 私の小さな呟きに気がついたのか、アイラ様はこちらを見ると手を振っていた。彼女の横にはミーアもいる。


「コンラッド様が、理事長室前の廊下を歩いているのが見えた後、虹色の光が見えましたの。少し、様子を見に行こうかと思いまして」


 アイラがそう言った瞬間、アナウンスが流れた。


「またまた、特進クラスに1点追加。特進クラス一歩リードです。このまま見つからなければ、今年は特進クラスの優勝か?!」


 特進クラスの誰かが、球を見つけたようである。


「コンラッド様かしら?」


「行ってみましょう」


 アイラが外から虹色の光が見えたという場所へ行ってみれば、そこにはコンラッドがいた。


「コンラッド様?」




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