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一人目の攻略対象者

「パーティーでは嘘をついてしまい、申し訳ありませんでした。フレイア伯爵の娘、レイラでございます」


「ラインハルトだ。先ほどは笑ってすまなかった。かわいいと思ってね――つい、笑ってしまった」


 なるほど。さっきの微笑みは、幼子を見守るような笑いだったのか。


「いえ、気にしておりませんわ」


「それにしてもかわいいお目々だね。金の瞳の中に星屑が散っているようだ」


 ラインハルト殿下は、しゃがみこんで私の目線に高さを合わせると、頭を撫でていた。


「よ、幼女趣味でしゅたの?」


 思ったことが、そのまま口にでてしまったことに驚いた私は、思わず舌を噛んでしまった。


「いったぁ……」


「大丈夫?」


 私が痛みに堪えながら頷くと、殿下は立ち上がり姿勢を正しながら言った。


「そういえば、まだ直接お礼を言ってなかったね。この間は、助けてくれてありがとう」


 殿下に言われてから思い出していた。ゲームでは、あんなイベントはなかったはず――というより、ゲームの主人公であるミーアが現れるのは今から5年後だ。平民である彼女は、聖魔術が発現したことがきっかけで、魔術学院へ通うことになる。


 一方、ラインハルト王太子殿下は、王立学園を卒業直前に、魔術が使えるようになり、魔術学園へ通うようになるのだ。そこで主人公であるミーアがラインハルト、他の攻略対象者達と出会うはず――それに、ゲームでは、王太子殿下は命を狙われるようなことは無かったはずだ。


「命を狙われているのですか?」


「えっと……。時々ね。最近は特にひどくてね。心配した父上が、婚約者は魔術が使える者の方がいいだろうと言いだしてね。アイラ嬢には申し訳ないけど、もう挨拶もしてしまったしね」


 私は先日の婚約披露を思い出し、頬に熱が集まるのを感じていた。


「おや? 少しは私のことを意識してくれているのかな?」


「ち、ちがいます」


 再び顔をのぞき込まれ、私は茶色の瞳に吸い込まれそうになっていた。顔が更に熱くなり、両手で顔を隠すと思いきり叫んだ。


「この、人たらし!」


 私は応接室の部屋を出ると全速力で駆けて、お父様の元へ戻った。


 ゲームのバグのような現象や、自分が悪役令嬢のポジションになってしまったこと。それから、殿下が命を狙われる理由など――この時の私は、まだ何も考えられていなかったのである。




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