球技大会
私達が入り口付近で話していると、教室へ颯爽と入ってくる人物がいた。その人物には見覚えがあった。
「みなさん、授業をはじめます。席についてください」
「オリバ先生?!」
「特進クラスの講師を一年間だけ受け持つことになりました、オリバ・クレイルと申します。このクラスは特進クラスですので、授業はビシビシいかせてもらいます。あなたたちも、そのつもりで」
「え――」
「えー、ではありません。では、始めます。本日は歴史の授業からになります。古代史の35ページを開いてください」
オリバ先生の登場に驚いたものの、宣言どおり初日から授業はビシビシ進んだ。生徒に何も言わせずに突き進むオリバ先生の授業を見て、いつも通りだなと思わず苦笑が漏れてしまったのだった。
※※※※※
一ヶ月後。私達は、詰め込み型の授業に音を上げそうになっていた。ときどき実践の授業を挟みながらも、詠唱魔術、歴史、魔術理論、詠唱魔術――の繰り返しである。五月病になる暇もないくらいの課題が毎日出て、疲れ果てた頃に、そのイベントはやって来た。
「球技大会?」
「うん、来月にあるらしいよ。普通クラスの知り合いが教えてくれたんだ。再来月には普通クラスと一緒に街で職業体験だって」
リトッシュの言葉に、私は耳を疑った。そんなものがあるなら、早く教えて欲しい。というより、球技大会なんてゲームにあったかしら?
(それより、私が気になってるのは――)
「どんなイベント名だっけ?」
「イベント?」
「いえ、ごめんなさい。何でもないの。初耳だわ、普通クラスだけが知ってたの?」
今年入学した生徒は少なく、クラスは特進クラスと普通クラスの二つしかない。普通クラスしか話を聞かされていなかったのだとしたら、特進クラスは知らなかった分、不利になってしまう。
「いや、毎年普通クラスに先に教えるみたいだよ。今回はオリバ先生が臨時講師ということで聞かされていなかったみたいなんだけど、特進クラスは後で教える慣例になってるみたい。ハンデ? らしいよ」
「困るわ、そんなの。球技大会ですって? 何をするのかしら?」
「それが3パターンあって、1つ目は30メートルくらい離れた場所に置かれた籠に、これくらいの大きさのボールを投げて、幾つ入るか競い合うんだ。あっ、これは風魔術を使用してボールの向きを変えるのは大丈夫みたいなんだけど、直接ボールに魔術を使っちゃいけないんだって」
リトッシュは、目の前で手のひらを広げてボールの大きさを表現していた。
「とんでもなく難しそうね」
「うん。それで2つ目が、水の上に浮かべた親指くらいの大きさのボールを、紙で作った取っ手付きのトレーでいくつ救えるか競い合うんだ。これも直接ボールに魔術を当ててはいけないらしくて、水の流れを変えて相手のボールに影響を与えるのはいいんだって」
私は前世での夏祭りの縁日を思い出していた──いや、そのままではないか?!
「そう。結構難しそうね」
「そうだね。それで、3つ目なんだけど――」




