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攻撃

「ディストリア公爵家のアイラと申します。以後、お見知りおきを――」


 ラインハルト殿下は茶色の髪に薄茶の瞳をした優しそうな少年だった。レイラは私と同じ8才だと知っていたが、婚約者のラインハルト殿下は15才――7才も年上である。初対面だったのか、挨拶をされて、つい普通に挨拶を返してしまった。早く彼女と交代しなくては!


「初めまして。アイラ・ディストリアと申します──」


 私は焦る気持ちを抑えながら、周囲の人達と初めましての挨拶を交わしていた。挨拶をしながら気が気ではなかった。早く、どこかのタイミングで入れ替わらないと――そう思いながら、私はお父様を探していた。お父様なら、きっとこの状況を何とかしてくれるはず!


 (どこ? お父さま────いた!)


 遅れて会場にやって来たお父様は、私を探しているのか、辺りを見回しながら入ってきた。私は周りへの挨拶もそこそこに、一直線にお父様の元へ向かった。けれど、あと一歩で辿り着くという所で、私は殿下に腕を掴まれてしまった。


「どうしたの?」


「申し訳ありません、殿下。先ほど私の落とし物を拾ってくださったので、一言お礼が言いたかっただけなんです。ありがとうございます、フレイア伯爵」


 私がお礼を言うと、お父様は私に気がついたのか、顔を青くしながら口を魚のようにパクパクと動かしていた。


「お、お礼だなんてとんでもございません。この度は、ご婚約おめでとうございます」


 お父様は気を取り直したのか、よそ行きの顔で笑いながら臣下の礼をしていた。


「行こうか」


 殿下に促され、仕方なく元の場所へ戻ろうとした――その時だった。会場の入り口の扉から入ってきた風が、急につむじ風を巻き起こし、殿下を襲った。鋭い風が刃のようになって殿下を襲う。


「ウォールプロテクション!」


 私は咄嗟に土魔術を使って風を防いだ。床の大理石が砕けて地面から土が現れると私たちに覆い被さり、むき出しの土がドーム型の壁のようになった。土壁の影に身を屈めて、殿下を守るように抱きしめていたが、殿下は先ほどの風魔術にやられてしまったのか、腕から血を流していた。


「レディトリア!」


 私が治癒魔術を使って傷を治すと、殿下は気を失っていた。


「レイラ!」


「おとう──さま?」


 風がおさまり、土壁が砕ける音がすると、私はお父様に抱きしめられていた。そして、そのまま――意識を失ったのである。



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