手紙
翌朝。何故か私は、お父様によって馬車へ詰め込まれていた──しかも、殿下の馬車にである。
「お父様! なんてことをなさるんですか」
「すまん、レイラ。これも領地のためなんだ」
お父様は、昨日は夜遅くまで殿下とお酒を飲んでいたようだ。何か言われたのだろうか――いや、言われたに違いない。
「お父様、私は領地でまだ学びたいことが」
「魔術は、オリバ先生に習うんだろう?」
「でも狩りとかは、お兄様達にしか分からないし……」
「狩りは、また今度な」
「そんな……」
お父様は、私の前まで来ると言った。
「殿下と話をして、これからは1年に1回は領地に帰らせてもらえるよう、お願いをしておいた。勉強を頑張れば、また来年会わせてくれるよ」
「お父様──ありがとう」
私はお父様と抱き合うと、見送りにきてくれたお母様やお兄様達とも抱きしめ合った。今生の別れではないが、名残惜しく馬車から顔を出すと、見えなくなるまで手を振っていた。
※※※※※
オリバ先生の転移魔術で、王都へは暗くなる前に着くことが出来た。自分の部屋へ戻ると、ベッドへ横たわり溜め息をついた。学園へ通えるようになるまで、あと1年ある。それまで殿下を、どうやって避けるかということばかり考えていた。
(そうだわ、嫌われてしまえばいいのよ。なんでこんな簡単なことに気がつかなかったのかしら)
その時、ノック音がしてベイルが入って来た。手にはトレーを持っていて、その上には手紙がのっていた。
「どうしたの、その手紙?」
「この手紙は、ミーア様からです。レイラ様宛に出そうとしたところ、宛先が分からずに、アイラ様へ送ったようでして――どうやら殿下経由で、こちらへ届いたようです」
「え? 殿下経由?」
殿下経由で送られてきたという手紙を不思議に思いながらも、目の前にある封筒に手を伸ばすと、私は封の開いている封筒の中から手紙を取り出した。
「おそらく、殿下がご覧になる前に、検査が入ったのでしょう。公爵様が殿下に手渡したと聞いております」
「なんでまた、そんな大事に……」
私は三つ折りに折られた手紙を広げると、書いてある内容に驚いて手紙を取り落としてしまった。




