生徒会へ
次の日の朝。王宮の警備隊が教会の辺りを警備しているのを目の当たりにして、私は息を呑んだ。見えざるものは封印したのに、また窮地に立たされている――そんな風に感じていた。
「レイラ、おはよう」
教会の前で声を掛けられて振り返ると、そこには殿下がいた。昨日の夜は寝れなかったのか、眼の下に隈が出来ている。
「レディトリア」
私は他の人に聞かれないように殿下に聖魔術をかけた。殿下は私の頭を撫でると、少し切なそうな顔をした。
「レイラ、放課後にここへ集まれる? ベイルの他にリトッシュにも声を掛けて欲しいんだ」
「構いませんが、何かありました?」
「いや、何かあるって訳じゃないんだけど……。最近起こっている不可解な出来事について、情報を共有しておいた方がいいかなって思ってね」
「分かりました。リトッシュ様には私から声を掛けておきます」
「すまない。よろしく頼む」
「殿下、また後で」
「ああ」
殿下は私の頭をもう一度撫でると、社会人コースのクラスへ向かっていた。
※※※※※
放課後になって教会へ集まると、殿下とフィリップが扉の前に立っていた。クラスでリトッシュに声を掛けると、用事などは特にないと言っていたので、そのままここへ連れて来ていた。
「悪いが、生徒会へ来てくれるか? 話の出来る場所へ移動したいんだ」
「分かりました」
私達は校舎を一度出て、社会人コースと普通科コースの校舎の間にある細長い建物へ入った。昔、セルクが盛んだったころに使用されていた建物らしく、今は生徒会の会議室として使われていた。
「失礼します」
生徒会のプレートが下がった部屋の中へ入ると、書類仕事をしている男性と女性が一名ずつ、机に向かって作業をしていた。それ以外に資料を整理している男性が一名いたが、彼は私達に気がつくと一礼して去っていった。
「今は少し忙しくてね。悪いが奥の部屋に来てくれ」
「はい」
左奥のドアを開けると、そこにはたくさんの書類が束が置かれていた。棚には入りきらなかったのか、書類の入った箱が山積みになっている。
「奥に机があるんだ」
少し奥へ行くと、部屋の角に机が置かれていた。正方形の小さな机に椅子が四つ置かれている。私とベイル、リトッシュと殿下が椅子に座ると、その横にフィリップが立った。殿下が懐から魔術具を取り出すと、周りに音が聞こえないタイプの防御結界が広がり、話し合いが始まった。




