悲鳴
図書館へ行くと入り口付近にベイルがいて、私を見つけたベイルは呆れ顔をしていた。
「嘘をついて、どちらへ行っていたのです?」
「思いついた場所があったから、ちょっと寄っただけよ」
「思いついた場所って、どこですか?」
私はベイルを見ると肩をすくめた。まだ何も分かってないのに、詳しく話す訳にはいかない。
「まだ内緒。分かったらベイルにも話すわ」
「殿下に報告しますよ?」
「いいわよ。殿下はお忙しいもの。一緒に調査してくれるのなら、ありがたいわ」
「これだからレイラ様は……」
ぶつぶつ文句を言っているベイルを連れて、私は図書館の勉強机へ座った。
「ベイル。教会の人って、いつもいるのかしら?」
「え? 知らないですよ。また妙なことに首を突っ込まないでくださいね」
「分かってるわよ」
教会の人が意図的に音楽を流しているのだとしたら、それは問題だ。それが、国家機密に当たるようなものであれば、その話には安易に触れない方がいいだろう。
「陛下に聞いてもらえるか、殿下に会った時にでも聞いてみるわ」
「そうしてください」
ベイルはため息をつくと、向かいの机で教科書を広げたのだった。
※※※※※
夕方になって、図書館から寮へ帰ろうとした時、どこからか悲鳴が聞こえた。
「なに?」
「レイラ様――」
「行ってみましょう」
「え? ちょっと!」
ベイルが何かを言い出す前に駆け出すと、ベイルは慌てて私の後を追いかけて来た。向かう途中で殿下と合流する。
「ラインハルト様?」
「教員室へ行く途中で、悲鳴が聞こえたんだ。教会の方だろう」
私達が教会へ着くと、そこには尻もちをついたオリバ先生がいた。
「オリバ先生?!」
「あ、あ……」
彼女はパイプオルガンを指さすと、震えていた。恐怖で声が出ないみたいだった。




