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意外な人物

「コンラッド様。どうして、ここに……」


「どうしてって、それはこっちが聞きたいよ」


 コンラッドは棚の奥にあった扉から入ってきたようだった。棚の陰に隠れて部屋の反対側に入り口があるのが見えなかったし、そんなところにドアがあるなんて思いもよらなかった。


「私は理事長の後継ぎとして、この部屋にある本の修復と維持を月に一回行っているんだ。これは、エスターク家がこの学園を管理するようになるずっと前から行われているんだ」


「どうして?」


「どうしてって、それは分からないよ。役割としか聞いてないし、父上もそれ以上は何も言わない。レイラ様こそ、どうしてこんなところに?」


「どうしてって言われると――その、賢者セルスに夢の中で言われたのよ」


「賢者セルスって、洞窟の中にいるセルス?」


「いいえ。あのセルスより、もっと現実感があるというかなんというか……。とにかく、その夢の中に出てきたセルスに言われたのよ。私の求めている答えの半分は洞窟の中にあるって」


「それって、もしかしてお告げ?」


「分からないけど、そんなに凄いものでもないと思うわ」


「それで――話が戻るけど、何でみんなここにいるの?」


「コンラッド様。驚かないで聞いてください」


「うん」


「この部屋の先が、井戸の中にある洞窟だったんです」


「そうなんだ。この間、来た時はこの先は壁だったんだけどな」


「本当に驚かないんですね」


「いや、驚かないでって言ったのはレイラ様だろう?」


「すみません」


「コンラッド、この先を一緒に見に行かないか。そしたら分かるだろう」


 リトッシュの申し出に、コンラッドは頷いて言った。


「分かった。行ってみるよ。案内してくれる?」


「いいよ、ついて来て」


 リトッシュの案内でコンラッドは洞窟を見に行ったが、勝手に本を見たりするのは気が引けたのか、他の人達も彼らの後を追うようについて行った。


「ここだよ」


「え? ここ?」


「そう。この壁画の後ろに空間があるのをレイラ様が見抜いて、私達はあの部屋を見つけたんだ」


「ここって、井戸の下というか、その先の通路だよね?」


「そうだ。どうかしたのか?」


「いいや。なんでもない」


「コンラッド、すまない。君の作業の邪魔をしてしまったようだ。日を改めて、また見に来てもいいかな?」


「もちろんです。殿下」


 殿下の言葉にコンラッドは頷いたのだった。




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