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答えられないもの

 放課後になって、私達は裏庭の井戸の前に集まっていた。洞窟へ向かうために裏庭にある井戸の前に集まったのだが、その中には何故かリトッシュもいた。


「リトッシュ様まで……」


 私が呆然としていると、リトッシュは澄ました顔をして言った。


「話を聞いたら、いても経ってもいられなかったんだ。ただ、それだけ」


 確かにクラスでアイラやリトッシュ達に話をしたが、リトッシュは以前にここへ来た時に、一時的な記憶喪失になっている。何があるか分からないのに、友人である彼を危険に晒すわけにはいかないと思った。


「危険かもしれないのよ?」


「分かってる。君の役に立ちたいと思ってるのは、殿下だけじゃないんだからね。何かあれば協力したいと思っているし」


 そう言ったリトッシュが私を見て微笑んでいた。後ろから殺気を感じると思ったら、殿下が私達を見ていた。


「ラインハルト様?」


「さあ、行こうか」


 フィリップに言われて私達は、井戸の奥にある洞窟へ向かったのだった。



※※※※※



 洞窟の壁画の前まで来ると、いつものように賢者セルスが現れた。夢で見た賢者セルスの方がリアリティがあったためか、この間見た時よりも何故か嘘っぽい印象を受けた。


「わが名は賢者セルス」


「知ってる」


「そうであったな」


「セルス、この先には何があるの?」


「この先は行き止まりじゃ」


「でも、何かあるでしょ?」


「……」


 私は絵の描かれた壁を指さすと言った。


「壁の先に何があるの?」


「答えられぬ」


 私はもう一度、壁画をよく見てみた。目の前には大きな壁画には、以前にも見た通り左側に杖を持った老人らしき人物が描かれていた。右側にはそれを崇拝するように頭を下げている人々が描かれていて――この前は気がつかなかったが、絵の左側と右側で劣化状態が違った。


「リルライト!」


 光魔術で壁を照らすと、絵の右側が色褪せていた。


(なぜ、色褪せてるの? まさか……)


「壊していいわね?」


「ならん。国の平和を守るために、わしが設置されたのじゃ。それだけは許されない」


「こっちだって緊急事態なのよ。見えざるものを封印する手掛かりがあるのなら、私達はそれを知る権利があるわ」


 私がそう言った瞬間、足元にある転移陣が光った。また森へ飛ばされては厄介だ。


「そうさせるわけにはいかないわ――リュ・ソルテラ!」


 私が小さな風を巻き起こすと、右の壁へ向けて風魔術を放った。すると、右側の壁は崩れ去り、その先に通路が現れた。


「みんな、あの中に!」


 私がそう叫ぶと、殿下とフィリップ、リトッシュ達と一緒に壁画の奥の道へ雪崩れ込んだ。


「う……」


 みんなの下敷きになったかと思ったが、いつの間にか私は殿下にお姫様抱っこをされていた。間一髪のところで私達は、転移陣から逃れることが出来たようである。




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