二人目の攻略対象者
「すごい。王都に来たら有名人に会えるのね」
「有名なのか? まあ、父上は有名かもな。それよりも、お前の方が有名だと思うぞ」
「お前じゃなくて、レイラ」
「未来の王太子妃を、名前で呼べるわけないだろう?」
「じゃあ、なんて呼ぶのよ?」
「レイラ伯爵令嬢様?」
「様はいらないわよ。呼びにくくない?」
「じゃあ、レイラ様」
「仕方ないわね。それで許してあげる」
「王太子殿下の治療に来たんじゃないのか? いいのか? こんな所で油を売ってるなんてばれたら、名前に傷がつくぞ」
「すごいわね。そんなことまで知ってるの」
「今朝、父上と部下が話しているのが聞こえたんだ」
私はため息をつくと、許可証の日にちが明日からの日付になっていて、城の中に入れなかった事を説明した。
「未来の王太子妃を門前払いとは──城の警備は、一体どうなってるんだ?」
王太子妃になる予定は無かったが、話が進まないと困るため、頷いておいた。
「分からないけど、ベイルが観光でもして、許可が下りるまで待ちましょうって、言ってくれたのよ。それも勉強になるだろうからって言って」
「ふーん……」
オリベールJrは、何故か私達を半眼で見ていたが、踵を返すとドアに向かいながら言った。
「行くぞ。僕が同行すれば、さすがに門前払いはないだろう」
「いいの?」
「ああ。僕の気が変わらないうちに行くぞ」
「ありがとう、リトッシュ」
「だから、呼び捨てはやめろ」
彼は恥ずかしかったのか、後ろ姿からでも分かるくらいに頬を赤く染めていた――リトッシュ・オリベール。青髪に青眼の魔術師団長の息子である彼は、まぎれもなくゲームの攻略対象の一人だった。
(今ここで攻略対象者に会ったのは、何か意味があるのだろうか?)
疑問に思いながらも、私はベイルやリトッシュと一緒に城へ向かったのだった。




