【ガチ恋プリンセス】これがVtuberのおしごとSS『海と魔女の絆星』
【ガチ恋プリンセス】これがVtuberのおしごとSS『海と魔女の絆星』
春の柔らかな日差しが、Fmすたーらいぶの事務所の廊下に差し込んでいた。今日の謎解きゲームの案件収録はなかなか手応えがあって、最後の仕掛けを解いた時には思わず「やったー!」と叫んでしまったほどだ。
ふぅ、と息をつき、今日の疲れをゆっくりと解きほぐしながら、私は控え室へと続く廊下を歩いていた。角を曲がると、向こうから見慣れた姿が見えた。
「あれ?衣音ちゃん、こんな時間に収録?」
「うんボイスのね。愛梨ちゃんはもう終わったの?」
「うん、さっき終わったところ。あ。ねぇ衣音ちゃん、この後、一緒にご飯食べに行かない?」
「え?私、今から収録なんだけど。たぶん……18時くらいになっちゃうよ?」
「そっか。じゃあ終わるまで、提出物やって待ってるよ!」
衣音ちゃんは、少しだけ困ったような表情を浮かべたけれど、すぐに諦めたように小さく頷いた。
「まぁ……いいけど。じゃあどこに行くか決めておいて?」
そしてそのまま私は自分の控え室へと急いだ。控え室の椅子に腰を下ろし、スマホを取り出す。どこか、二人でゆっくり話せるようなお店はないかな?久しぶりだもんね衣音ちゃんとご飯。ファミレスとかラーメンとかは飽きたよね……
そんなことを考えながら指先で画面をスクロールすると懐かしいお店が目にはいる。
「あ。この焼肉屋さん懐かしい!そう言えば……初めて衣音ちゃんとご飯食べたのこのお店だったなぁ……」
ふと窓の外を見る。春の午後の陽光が、事務所の窓からぼんやりと差し込んでいる。
「あの時は……本当に困ってたっけw」
♢♢♢
デビューして半年。画面の向こうの使い魔さんたちの笑顔が、私の毎日の頑張る理由だ。今日も元気いっぱいの魔法(配信)で、みんなを虜にしちゃうぞ!……なんて、心の中では少しだけ、小さなため息を吐いたりもする。
私の名前は相馬愛梨。20歳。普段はFmすたーらいぶという事務所でVtuberとして活動している。私の演じているキャラクターは、魔界からやってきた可愛い魔女っ子の朽木ココア。
振り返れば私の学生時代は、どこにでもいるような、ちょっとアニメやゲーム好きの普通の女の子だった。特に目立つわけでもなく、かといって地味すぎるわけでもない。友達とくだらない話で笑い合ったり、テスト前には慌てて勉強したり。そんな日常の中で、ふと見つけたのがVtuberという存在だった。
画面の向こうで個性豊かなキャラクターたちが、まるでそこに生きているかのように楽しそうに配信している。その自由で、どこか夢のような世界に私は強く惹かれた。自分じゃない誰かになって色々な表現ができる。それは私にとって、すごく魅力的なことだった。
最初はただの視聴者として、色々な配信を見ていたけれど、実はその時、他社の有名なVtuberさんの名前はいくつか知っていたものの、まさか自分が応募することになるFmすたーらいぶのことは全くと言っていいほど知らなかった。
今思えば、本当に偶然だった。ただ「Vtuberになりたい」という漠然とした憧れがあって、ネットサーフィンをしていた時に、たまたまFmすたーらいぶの3期生オーディションの広告を見つけた。
「個性豊かなあなたを待っています」という言葉が、私の目に飛び込んできた。迷いはあったけれど「ここで変わらなければ、きっと後悔する」という強い思いが私を突き動かした。後で後悔することだけは嫌だから。
私は昔から思い立ったらすぐに行動しないと気が済まない。それで多くのドジをしてきたけど……それでも後悔はしたことはなかった
……ただ一つ今だから告白すると、その履歴書に肝心の自分の名前を書き忘れて提出してしまったのだ。後日、事務所の方から電話がかかってきた時は、本当に心臓が止まるかと思った。自分のドジっぷりに顔が真っ赤になったのを覚えている。
Fmすたーらいぶのことはよく知らなかった。履歴書には名前を書き忘れるという大失態も犯した。それでも、私がVtuberになりたいという気持ちは誰にも負けないくらい強かった。いつかきっとたくさんの人たちを笑顔にして、みんなが夢中になるくらい有名なVtuberになるんだ――その明確な目標だけは、オーディションに応募した時から、ずっと私の胸の中に燃え続けている。
それでも、私の熱意は伝わったのだろうか、何度かの選考を経て、まさかの合格通知が届いた時、私は自分の目を疑った。
そんなこんなでデビューして半年がたったある日の事。春の陽気が窓から差し込む。時間は14時。いつもならこの光の中でカタカタとキーボードを叩いているはずなのに、今は目の前の真っ暗な画面を持て余している。まるで私の心模様を映し出しているみたいだ。
「はい……あの、言われた通りにケーブルを繋ぎ直してみたんですけど……やっぱり、うん画面は真っ暗なままで……」
受話器の向こうの運営さんの、事務的な声が耳に響く。
《そうですか……再起動も試されましたか?》
「はい、何度も……電源ボタン長押しとか、色々試したんですけど……全然反応がなくて」
ため息がこぼれる。まるで深い霧の中に閉じ込められたみたいにどうすればいいのか全く見当がつかない。しかも、こんな状態なのに対応してもらえるのはなんと2日後になるという。
マネージャーさんは今日は珍しくお休みだ。普段ならこういう時に頼りになるのに。どうしたものか……本当に困った。
こういう時こそ誰かに相談するのが一番いいと頭の片隅では分かっている。一人で悩んでいても良い方向には進まない。でも……先輩たちに、こんな些細なことで手を煩わせるのは気が引けるし相談したところで迷惑だと思う。それに忙しいだろうし。
そうだ、同じように右も左も分からないままデビューした、大切な同期の顔が、次々と頭に浮かんだ。
最初に思い浮かんだのは『双葉かのん』こと鈴町さん。私より一つ年上で、実はまだほとんど話したことがない。ディスコードでのやり取りも業務連絡程度。いきなりこんなことで連絡しても、驚かれるだけかもしれない。それに鈴町さんはコミュ障のような気がするし……
次に考えたのは『葉桐ソフィア』こと佐伯さん。彼女は現役の女子高生。今は平日の午後2時。きっと学校に行っている時間だし、そんな時間に電話をかけるなんて迷惑すぎる。それに高校生の彼女に相談するのも気が引ける。
なら一番頼りになるお姉さん『九重キサラ』こと白石さんだろうか。デビューの時から色々とお世話になっているし、同期のまとめ役でいつも的確なアドバイスをくれる。でも……今回の件は運営さんに相談済みだ。きっと「運営さんがそう言っているなら、待つしかないんじゃない?」と、至極まっとうなことを言われると思う。
確かにその通りだし……でも、今すぐ何とかしたい私の気持ちはどうすればいいんだろう。
最後に頭をよぎったのは『海原あると』こと水瀬さん。彼女はスカウト組で、私とは少し違うルートでデビューしている。
そして密かに水瀬さんにライバル心を燃やしている。同期で同い年。しかも得意な配信ジャンルは内容は違えどゲーム配信となれば意識しない方がおかしい。どうしても自分と比べてしまうし、負けたくないという気持ちが大きい。
それに水瀬さんに話したところで、彼女はどう思うだろう? きっと、あっけらかんと「へー、大変だね」くらいで終わってしまう気がする。水瀬さんは私とは違う。スカウト組で最初から注目を浴びていた。きっと私のようにもがいたり、小さなことで悩んだりする経験は少ないんじゃないだろうか。相談したところで、共感してくれるとは思えないし……
同期の中でもこんなにも近い存在なのに、なんだかまだ少し壁を感じてしまう。スカウトとオーディション。だからって別に優劣はないはず。私も3期生だし。
部屋の静けさが、私の焦燥感を絡め取っていく。窓の外では、春の風が優しく吹き抜け、アパートの裏にある木々の若い葉が、かすかに揺れている。こんなにも穏やかで希望に満ちた陽気なのに、私の心の中は鉛のように重く沈んで身動き一つ取れない。
どうしよう……本当に、どうすればいいんだろう……
私はスマホの連絡先リストを、指でゆっくりとスクロールした。誰かに、このどうしようもない焦りを、少しでも分かってほしい。そんな頼りない願いを抱きながら。
「でも……やっぱり……水瀬さんしかいないよね……」
私は半ば諦めて意を決して、ディスコードの通話ボタンをタップする。無機質な電子音が部屋の静けさに響く。心臓がトクトクと早鐘のように打ち始めた。どうか出て。そしてどうか私の頼みをどうか笑わないで。
数回の呼び出し音の後、プツッという音と共に、少し間があって水瀬さんの声が聞こえてきた。
《はい》
「あ……こんにちは。私、分かる?」
《え?ココアでしょ?》
あ。しまった、ここはディスコードだ。普段のやり取りでは、お互いライバー名で呼び合うのが基本ルール。身バレ防止のため、事務所からもそう指導されている。直接会う時や個人的な連絡を取り合う時は、スマホの通話やLINEを使うのに焦って忘れてしまっていた。本当に私ってドジだよね……
「あっあのさ、パソコンが画面出なくなっちゃってさ!」
私はいきなり本題を早口で話し始めてしまった。そんなことをいきなり言われても困ると頭では分かっていたけど、誰かに聞いてほしくてそのまま喋り続けた。
「……それでどうしたらいいかなって」
《えっと……ココアさ。今、ココアのLINEに住所送ったんだけど……ココアの家ってあるとの家から近い?》
「え?」
LINEを開いてみると水瀬さんの住所が送られている。もちろん番地とか正確なものは送られていないけど、それでも私の家から2駅くらいの距離だった
「ここなら2駅先くらい」
《……じゃあ家行こうか?》
「え?」
《あると、こう見えても結構パソコンいじるの好きなんだ。もしかしたら原因分かるかもしれないし》
その水瀬さんの言葉を聞いて、まさかの提案に私は言葉を失ってスマホを握る手に力がこもった。まさか、水瀬さんが私のために家に来てくれるの?
「え。でも、今から?」
水瀬さんだってきっと自分の時間があると思うし。それに私の家にいきなり来るなんて迷惑だよね……
《うん。だって困ってるんでしょ?》
水瀬さんの声は電話越しでもわかるくらい優しかった。その一言が私の張りつめていた心をふっと緩ませた。
「……うん、すごく困ってる」
《分かった。準備して行くから、たぶん1時間くらいで着くと思う》
「えっ……本当にいいの?」
何度も確認してしまう。申し訳ない気持ちと信じられないような嬉しさが心の中で入り混じっていた。
《しつこいよw大丈夫だから。LINEに住所送っておいて?》
プツッという音と共に通話は終わった。スマホの画面を見つめたまましばらくの間、私は呆然としていた。本当に水瀬さんが私の家に来てくれるんだ……
慌てて立ち上がり、部屋の中を見渡す。散らかっているわけではないけれど、誰かを招くとなると、もう少し片付けておきたい。床に落ちている小さなゴミを拾い上げ、テーブルの上を簡単に拭いた。冷蔵庫には、確か昨日買ったばかりのジュースがあったはずだ。
窓の外は、相変わらず穏やかな春の陽気に包まれている。こんなにのどかな午後なのに私の心だけが、さっきまでの重苦しさから解放されてドキドキと高鳴っている。まるでこれから何かが始まる予感を感じさせていた。
玄関のチャイムが鳴ったのは水瀬さんの言葉通り、1時間ほど経った頃だった。心臓がトクトクと音を立てる。深呼吸を一つして、ドアを開けた。
「こんにちは」
「あ。こんにちは、水瀬さん来てくれてありがとう」
同期で顔を合わせたこともあるはずなのに、どこか照れくさくて、顔が熱くなるのを感じた。
「気にしないで大丈夫」
「あ、上がって」
水瀬さんは私の部屋へと足を踏み入れた。少しだけ緊張した空気が流れたけれど、その空気はどこか温かく、希望に満ちているような気がした。まさかパソコンのトラブルがきっかけで、こんな風に水瀬さんと直接会って話すことになるなんて想像もしていなかった。
慌てて片付けはしたものの、普段使いの生活感は隠しきれていない。床には脱ぎっぱなしの服が転がっているし、テーブルの上には読みかけの漫画や使いかけのコスメ用品が散らばっている。
「ごめん、片付けたんだけど、ちょっと散らかってて……」
思わず申し訳なさそうにそう言うと、水瀬さんは部屋の中をゆっくりと見回し、少しだけ目を丸くした。
「え……うん、少しね」
その正直すぎる言葉に、私は思わず顔が赤くなった。慌てて床の服を拾い上げ丸めて隅に押しやる。テーブルの上の物をとりあえず棚の上に積み上げた。
「普段、こんなんじゃないんだけどね!あはは」
「大丈夫だよ。私も人のこと言えないし。気にしないで。早くパソコン見ようか」
水瀬さんの落ち着いた声が、私の不安を少しずつ和らげていく。この人に頼ればきっと大丈夫。そう思える不思議な安心感が、私の胸の中にじんわりと広がっていった。
水瀬さんは私の説明を聞きながら、丁寧にパソコンのケーブルを一本一本確認していく。その手つきは慣れていて迷いがない。私は、その様子をただ見守ることしかできなかった。
「うーん……モニターとの接続は問題なさそうだね。本体の電源ランプは点いてる?」
水瀬さんの問いかけに、私は慌ててパソコン本体を確認する。小さな緑色のランプがいつも通り点滅している。
「うん、点いてる」
「じゃあ、グラフィックボードかな……」
水瀬さんはそう呟きながら、パソコンの裏側にある接続端子をじっくりと観察し始めた。
「ちょっと、このケーブルを抜いてみてもいいかな?」
水瀬さんが指したのは、モニターと本体を繋ぐいつも使っているHDMIケーブルとは違う少し太いケーブルだった。そのままそのケーブルをそっと引き抜く。
「これって、普段使ってる?」
「ううん。これは……前に別のモニターを繋いでた時のケーブルかもしれない」
「なるほどね……ここおさえてるから、こっちの普段使ってるHDMIケーブルを、違う端子に挿してみてもらえる?」
言われた通りに、HDMIケーブルを別の端子に挿し直してみる。そして息を潜めて電源ボタンを押した。沈黙が数秒続いた後、信じられないことに、真っ暗だったモニターの画面が、ぼんやりと光り始めた。そしてお馴染みのデスクトップ画面がゆっくりと現れたのだ。
「え……!」
思わず驚きの声を上げてしまった。まさかこんなにあっさりと直ってしまうなんて。
「あ……映った!」
隣で画面を見守っていた水瀬さんも、小さく微笑んだ。
「良かった~」
「接触不良だったみたいだね。使ってないケーブルが何かの拍子に干渉してたのかも」
「すごい……!ありがとう水瀬さん!」
「どういたしまして。でも念のため、再起動とかも試してみて。また同じ症状が出たら、今度は運営さんに詳しく見てもらった方がいいかもしれないね」
「うん。本当に助かったよ~あの……もしよかったら、何かお礼したい!この後、ご飯でもどうかな?」
水瀬さんは、少しだけ考え込む仕草を見せた。その横顔は、窓から差し込む午後の柔らかな光に照らされ、どこか知的な雰囲気を漂わせている。彼女の瞳の奥では、何かを思案する光が揺らめいているようだった。
私の心臓は、また少しドキドキし始めた。まさか断られるだろうかという不安と、もし一緒にご飯に行けるならどんな話ができるだろうかという期待が入り混じっていた。緊張で上手く話せないかもしれないけれど、それでも、水瀬さんのことをもっと知りたいという気持ちが胸いっぱいに広がっていく。
「じゃあ……行こうかな」
「え……?……本当にいいの?」
「うん。相馬さんがそんなに感謝してくれるなら。それに……私も、相馬さんともっと話してみたいと思ってたし……」
水瀬さんはそう言いながら、私の目を一瞬だけ見てすぐに逸らした。その白い頬がほんのりと桜色に染まっている。可愛い人だな……イメージと違うかも。
「じゃあ準備しないと!あ。化粧してもいい?」
「そんなに焦らなくても大丈夫だよ」
そして準備をして、夕暮れ時、私たちは駅前の焼肉屋さんへと向かった。空はオレンジと紫のグラデーションに染まり始め、一日の終わりを告げている。行き交う人々も、どこか家路を急ぐ足取りだ。
駅から少し歩いた路地に、目的の焼肉屋さんはひっそりと佇んでいた。温かい光が漏れる格子戸をくぐると、店員さんの元気な「いらっしゃいませ!」という声が響いた。
案内されたのは、落ち着いた雰囲気の個室だった。木の温もりが感じられる空間で、二人だけの時間を過ごせることに、少しだけ心が躍る。テーブルの中央には、まだ火の入っていない七輪が置かれている。個室の柔らかな照明が水瀬さんの横顔を優しく照らした。彼女は少し緊張した面持ちでメニューを開いている。
「わあ、美味しそうだね……」
水瀬さんの小さな呟きが、静かな個室に響いた。私もメニューに目を落とす。色とりどりのお肉の写真が食欲をそそる。
そして注文をし、七輪の炭が赤々と燃え始め、店員さんがお肉の盛り合わせと野菜、飲み物を運んできてくれた。テーブルの上はたちまち美味しそうな匂いで満たされる。
「すごいね!」
「うん」
「美味しそう~!じゃあ、早速焼いていこうか」
トングでお肉を七輪に乗せた。ジュージューという音とともに、香ばしい匂いが立ち上り私たちの食欲を刺激する。最初の一切れが焼き上がり、二人でそれを口にした。とろけるようなお肉の甘みと、香ばしいタレの風味が口いっぱいに広がり、思わず顔を見合わせて微笑んだ。
「美味しい!」
「ほんと、美味しいね!」
美味しい食事のおかげか、さっきまでの緊張が少し和らいできたように感じた。他愛ない話をしながら、私たちは次々にお肉を焼いては食べた。
そんな中、水瀬さんがふと少しだけ声を落として言った。
「あの……相馬さんに、少しだけ話してもいい?」
「もちろん、どうしたの?」
「配信のことなんだけどさ、実は……私、雑談の配信がすごく苦手なんだよね」
「雑談配信、苦手なの?」
意外だった。配信で、明るく楽しそうに話しているイメージがあったから。もちろんゲーム配信の時もきちんと話しているし。
「うん……どうしても、何を話せばいいのか分からなくなっちゃって。それに、コメントとかもすごく気にしちゃうし、『つまらない』とか書かれると、すごく落ち込んじゃって……」
「色々気にしちゃう性格なんだ?」
「そうなんだよね……どうしても、周りの目が気になっちゃって。うまく自分を出せないというか……」
そう言って、水瀬さんは少し自嘲気味に笑った。
「私、本当に得意なことって、FPSのゲームくらいしかないし。でも、そればっかり配信するのもどうかなって思ったりして……」
その言葉を聞いて、私はハッとした。勝手に、水瀬さんは順風満帆な配信者人生を送っているのだと思っていた。可愛くて、ゲームも上手くて、きっと周りの人たちにも好かれて……
でも彼女もまた、色々な悩みを抱えているんだ。今まで、どこか遠い存在のように感じていた水瀬さんが、急に身近に感じられた。
キラキラした配信の裏側には、彼女なりの葛藤や不安があったんだ。私は、勝手に壁を作っていたのかもしれない。もっと、色々な話を聞いてみたいと思った。彼女の抱える悩みや不安、そして彼女が大切にしているものについて。
「そうだったんだね……なんか意外。水瀬さんは、いつも明るくて、誰とでも楽しそうに話しているイメージがあったから」
「そう見える?配信では、頑張って明るく振る舞おうとしている。でも、本当はすごく緊張してるw」
「私。勝手に水瀬さんのことすごい人だと思ってた。可愛くてゲームも上手で、たくさんのファンがいて……しかもスカウトされたんでしょ?正直、違う世界の人だって思ってたんだよね」
私は、自分の心の中にあった壁のようなものを、正直に打ち明けた。同期なのに、同い年なのに、なぜかずっと遠い存在のように感じていたから。
「え……そうだったの?」
「うん。だから、今日こうして二人でご飯に来られたことが、なんだかまだ信じられないw」
私は照れ隠しのように、目の前で焼けているお肉をひっくり返した。
「でも、今日こうして話せて、水瀬さんも色々なことで悩んだりするんだって知って……なんだかすごく安心した。私も、配信で上手く話せなかったり、コメントを気にしすぎたりすることがあるし……変なドジやらかすし」
自分の情けない部分をさらけ出すのは、少し恥ずかしかったけれど、水瀬さんの素直な言葉を聞いていたら、私も飾らずに話してみたくなった。完璧に見える彼女も、私と同じように悩んでいるのだと思ったら、急に親近感が湧いてきた。
「相馬さんもそうなんだね……なんか嬉しいかも。私だけじゃないんだって思えて」
水瀬さんの表情が少し明るくなったように見えた。その笑顔を見て、私も心が温かくなった。でもその裏には、色々な苦労や努力があるんだなと改めて感じた。勝手に手の届かない存在だと決めつけていた自分が少し恥ずかしい。
「それに……」
「ん?」
「私……ずっと相馬さんと仲良くなりたいって思ってた。ほら……同期で同い年だし。他の同期とは少し違うし……でもなかなか話す勇気がなくて……」
「水瀬さん……」
「だから今日連絡が来て、本当にビックリした。でも……この機会に仲良くなれたらって、少し嬉しくなった。ごめん。なんか勝手に壁を作ってたのは私の方かもw」
勝手に壁を作っていたのは、私だけじゃなかったのかもしれない。お互いに、見えない何かを感じ取って少しだけ距離を置いていたのかもしれない。
「そうだ!あの……よかったらさ、私の悩みも聞いてもらえない?」
「もちろん。相馬さんの悩みか……いいよ」
「いっぱいあるんだけどさw」
「なんかわかるかもw」
美味しいお肉を囲みながら、私たちはそれぞれの胸に抱える想いをゆっくりと語り始めた。今まで感じていた距離が少しずつ縮まっていくのを感じながら。
楽しい時間はあっという間に過ぎ、気がつけば、お腹はいっぱいになり、テーブルの上には空になった皿がいくつか残っているだけだった。焼肉の香ばしい匂いが、私たちの会話の余韻とともに、個室の中にまだ漂っている。
「今日は本当にありがとう相馬さん。すごく楽しかった」
水瀬さんが、心からの笑顔でそう言ってくれた。その言葉が、私の胸にじんわりと温かく広がった。私も、本当に楽しかった。美味しいお肉もそうだけど、それ以上に、同期の水瀬さんとゆっくりと話せた時間が、何よりも嬉しかった。
「こちらこそありがとう水瀬さん。私もすごく楽しかったよ」
でも、楽しい時間は、終わりが来るのがいつも早く感じる。もっと水瀬さんと一緒にいたい。もっと色々な話をしたい。そんな気持ちが私の心の中でふつふつと湧き上がってきた。
「あの……水瀬さん」
別れ際になって、私は勇気を振り絞って言った。
「もしよかったら……今日、私の家に泊まっていかない?」
自分でも、少し強引な誘いだということは分かっていた。でもこの楽しい時間を、すぐに終わらせてしまうのがどうしても嫌だった。
水瀬さんは私の言葉に目を丸くして、少し戸惑った表情を浮かべた。
「え……?泊まり?」
「無理なら大丈夫!その一人で帰るのも、少し寂しいかなって……それに、まだ色々話したいこともあるし……」
私は少しだけ声を小さくしてそう言ってみた。最後のほんの少しのわがままだった。
「じゃあ……泊まろうかな」
「え?本当に!嬉しい!」
「大袈裟だな相馬さんは」
水瀬さんは少し照れたように笑った。その笑顔を見て、私の心は喜びでいっぱいになった。まさか本当に泊まってくれるなんて思ってもいなかったから、驚きと嬉しさで胸がいっぱいだ。
「じゃあ、行こうか!」
私は立ち上がり、水瀬さんを見つめた。水瀬さんも微笑んで頷き、私たち二人は個室を出た。お店の外に出ると、夜の静けさが私たちを包み込んだ。焼肉の匂いはもうほとんどせず、代わりにひんやりとした夜の空気が心地よかった。
私たちは並んでゆっくりと歩き出した。昼間の賑やかさが嘘のような静けさの中、二人の足音だけが小さく響く。仕事のこと、趣味のこと、最近あった面白い出来事など他愛もない話をしながら歩いた。話しているうちに、さっきまでの少しの緊張はすっかり消え、まるで昔からの友達のように自然な会話ができた。
そして家につき、私はふと思い付く。
「そうだ!」
「どうしたの、相馬さん?何か忘れ物でも?」
「ううん、違うの!あのね今日すごく楽しかったから、この楽しい気持ちをみんなにもおすそ分けしたくなっちゃった!」
私は興奮気味にそう言った。普段は一人でひっそりとゲーム配信などをしているけれど、今日はどうしてもこの高揚感を誰かと共有したかった。
「え?みんなって……まさか、配信するの?」
「うん!ちょっとだけ!もちろん水瀬さんの名前は出さないから。でも色々話したいなって!」
「まぁ……じゃあ私は離れて作業してるね?」
そのまま配信枠を取り、とりあえずサムネは……適当に簡単なものを作った。普通じゃあり得ないけど、早く誰かとこの楽しかった気持ちを共有したかった。
「よし、準備OK!」
「サムネこれでいいの?」
「あとで直すからw」
そして私は深呼吸をして、配信を開始した。
「こんココ~!Fmすたーらいぶ3期生、猫さん大好き天才魔女の朽木ココアだよ~!使い魔さんたち今日もココアの魔法にかかってるかな?」
コメント
『かかってる』
『かかってるよ』
『かかっちゃった』
「今日もいい返事!なんか突然ごめんね。今日は色々あってさ、みんなと話したい気分になっちゃったからさ?」
コメント
『全然いいよ』
『むしろ楽しみ』
『ココアちゃん好き』
そして私はパソコンがピンチだったこと、もちろん名前は出さないけど焼肉を食べに行ったことを話した。
「実はね、ちょっと前に使ってるパソコンが危篤状態になっちゃって!もうね画面が出なくなっちゃって。終わった~どうしようって。このままじゃ配信もままならないし……どうしようかな~って。でも『友達』が直してくれたんだよ」
コメント
『友達GJ』
『良かったね』
『優しい友達や』
(あ…「友達」って言っちゃった。ちょっとドキドキする……水瀬さん気づいてるかな?)
私はコメントの流れを追いながら、内心少し焦っていた。いきなり距離を詰めすぎているかもしれないし……でも私は止まらなかった。
「そう!本当に感謝しかないんだ!その友達がいなかったら、今頃私は途方に暮れてたと思うし。本当に、良い友達を持てて幸せだなぁってしみじみ感じたよね!」
私は、心からの感謝を込めて言った。後ろでカタカタとキーボードを叩く音が聞こえる。水瀬さんは、私の言葉にどんな反応をしているだろうか。少しだけ振り返って見てみると、特に変わった様子はなく真剣な表情で画面に向かっていた。よかった……別に怒ってなさそうかな?
「でね、パソコンも無事に直ったことだし、今日はその友達と、美味しい焼肉を食べに行ってきたんだ!」
再び、楽しい話題へとシフトチェンジする。やっぱり楽しい話をしている方が私も気分が良い。
コメント
『焼肉の話かw』
『どんだけ焼肉好きなんだよw』
『でも、美味しいものの話は聞いてて楽しい!』
「だって、本当に美味しかったんだもん!特にタン塩が絶品だったの!あとね、カルビもとろけるみたいで……あー、思い出すだけでお腹が空いてきたw」
私は、ジェスチャーを交えながら、興奮気味に焼肉の感想を語った。コメント欄も「飯テロだ!」とか「食べてきたのでは?」といった反応で盛り上がっている。
「その友達とも、色々な話ができて本当に楽しい時間だったんだ。最近あった面白いこととか、ちょっと真面目な悩み相談とか……やっぱり、誰かと一緒に美味しいものを囲んで話す時間って、本当に大切だよね!」
私は、今日の温かい時間を思い出しながらそう言った。後ろにいる水瀬さんの存在が、私の言葉に実感を込めてくれる。
コメント
『うんうん、すごくわかる!』
『良い友達と美味しいもの、最高の組み合わせだ!』
『ココアちゃん、今日は本当に楽しそうだね!』
「うん!本当に楽しかったんだ!だから、みんなにもこの楽しい気持ちをちょっとでもおすそ分けしたくて急に配信しちゃったんだ!」
私は、改めてそう言って、画面の向こうの使い魔さんたちに笑顔を向けた。みんなの温かいコメントが、私の心をポカポカとさせてくれる。
こうして、予定外の夜の雑談配信は、温かい雰囲気の中で過ぎていった。楽しい時間はあっという間で、気がつけばもう深夜の0時近くになっていた。そして話題はコラボ解禁の話題になる。
コメント
『ココアちゃんの声癒される!』
『コラボ解禁したね』
『早くコラボしてほしい!』
『いきなり姫かママ行く?』
「いや無理無理!姫先輩とママ先輩とまともに挨拶したことないもんココア。でもまずは同期じゃない?」
コメント
『同期ね』
『誰とコラボする?』
『誰でも楽しそう』
『早く観たい!』
その『早く観たい!』というコメント欄を見て、気持ちが昂った。後ろにいる水瀬さん……配信で一緒に話したら楽しいかな……絶対楽しいよね……
そして私はそのまま無意識に口に出していた
「じゃあコラボしちゃう?ねぇあると、みんながコラボ早く観たいって!」
コメント
『え?あるとちゃん?』
『いるの?』
『友達ってあるとちゃん?』
水瀬さんは私の突然の言葉に、少しだけ体を硬直させたのがわかった。背後から感じる視線が、ほんの少しだけ鋭くなった気がした。
私は、心臓がドキドキと音を立てるのを感じながら、冷や汗が背中を伝うのを感じた。配信画面では、コメント欄がさらに騒がしくなっている。
コメント
『本当にいるの?』
『まさかのw』
『あるとちゃん、出てきてー!』
水瀬さんはゆっくりと顔を上げて、少しだけこちらを振り返った。その表情は、驚きとほんの少しの呆れが混じっているようにも見えた。
「あのさ。呼ばないでよココア」
「いや、みんなが観たがってたからw」
「こんばんは。あるとです」
「あ!ごめんあると。立ち絵持ってなかったちょうだいw」
「え?呼ぶならしっかりしてくれないかなw」
「ごめ~ん!」
コメント
『あるとちゃんこんばんは』
『突発コラボいいね』
『ドジだな』
『ポンコツだよな』
『ポンコツココア』
『ポンココw』
『それいいな』
「えぇ!?ポンコツココア……ポンココ!?」
「ポンココだね。いやぁビックリしたんだよあると。いきなりさ『あると助けて~』ってココアから泣きながら連絡来てさ?初めてじゃないかな、ココアから連絡来たの。いざ来てみたらパソコンもあれ刺すところ間違えてたようなもんだし。あるとの時間返してほしいよw」
「泣いてないし!刺すところはあってたから。変に干渉してたじゃん!それにちゃんと焼き肉奢ったじゃん!あると、めっちゃ楽しんでたし!」
「あると帰ろうとしてたよ?でもココアがどうしても、あるととご飯食べたいって言うから、仕方なくだよ?」
「でもめっちゃ可愛い顔で、美味しそうってメニュー見てたよw」
「見てないだろ!あると普通だし!」
コメント
『喧嘩するなw』
『子供か?』
『でも可愛いなw』
「というか今ここにいるのだって、ココアが『1人で帰るの寂しい!』って言うから。本当にあるとのこと好きすぎだよw」
「い~や!あるとだって焼き肉終わったあと、めっちゃ笑顔で楽しかったって可愛く言ってたし!あれはココアに恋してるねw」
「自意識過剰なんだけどこの人w」
「あるとが先に言ったんじゃん!」
「あるとのは本当だからwココアはあるとのこと好きすぎてるw」
「ココアのも本当だし!」
コメント
『クソガキ感満載w』
『クソガキコンビ誕生』
『あるココ好きだなぁ』
『あるココ最高!』
『あるココてぇてぇ』
コメント欄が加速している。今日初めて色々話した、初めて配信にも一緒に出た……だけどこんなに楽しくて、こんなに自然に言葉が出てくるなんて、自分でもびっくりだ。水瀬さんとこうして軽口を叩き合っていると、まるで本当に昔からの友達みたいだ。
そして配信が終わる。まだ配信の余韻と熱が冷めていない。本当に楽しかった。でも、少しだけ罪悪感が出てくる。無理に配信に出てもらっちゃったし謝らないと。
「水瀬さん。ごめんねありがとう」
「……衣音」
「え?」
「私の名前。ほら……私と相馬さん……愛梨ちゃんは友達なんでしょ?いつまでも名字は堅苦しいし。そもそも同い年だし」
「うん!そうだね、衣音ちゃん!」
私は言われた通りに、もう一度名前を呼んでみた。なんだか、さっきまで他人行儀だった関係がこの一言でぐっと近づいたような気がした。衣音ちゃんの名前を呼ぶのは少し照れくさいけれど、でもどこか嬉しい気持ちも湧き上がってきた。
「無理に付き合わせちゃって、ごめんね?私さ思い付いたらすぐ行動しちゃってさ」
「本当だよ。強引だし。まぁ楽しかったけどさ」
衣音ちゃんは頬を少し赤らめていた。良かった同じように楽しかったんだ。SNSをチェックすると、トレンドに『あるココ』や『クソガキコンビ』、『ポンココ』などが並んでいた。それを見て衣音ちゃんと笑い合う。
「すごっ!トレンド独占してる!」
「クソガキコンビは嫌だけどね」
「さてさて。もうこんな時間だ……ねぇ衣音ちゃん。一緒にお風呂入ろう!」
「え?嫌だよw」
「じゃあ一緒に寝ようよ!友達でしょ?」
「友達でも嫌だよw」
「えぇ~」
今日は私たちにとって特別な日。初めて色々話して、初めて一緒に配信に出て、初めて名前で呼び合った。そしてこれからもっとお互いのことを知っていく……そんな特別な日になった。
◇◇◇
「愛梨ちゃん?」
優しい声が聞こえて、意識がゆっくりと浮上していく。まぶたが重くてなかなか開かない。
「ふぇ……?」
ぼんやりとした視界の中に、見慣れた姿が見えた。衣音ちゃんだ。
「愛梨ちゃん、大丈夫?」
「衣音ちゃん……?」
「控え室で寝てるとかどんだけ呑気なのw」
衣音ちゃんの言葉で、記憶が少しずつ蘇ってきた。そうだ、焼き肉屋さんのサイトから色々思い出して……いつの間にか寝ちゃってた。
「ご飯行くのやめる?」
「え!行く行く!その前にさ私、化粧大丈夫!?」
「大丈夫だけど、よだれ垂らしてたよw」
「嘘!?」
「嘘だよw」
「もー、からかわないでよ、衣音ちゃん!」
私は慌てて顔を触った。よだれなんて絶対垂らしてないはずなのに!でも、その楽しそうな笑顔を見ていると、なんだか私もつられて笑ってしまう。
「まったくもう……早くご飯行こうよ!お腹空いちゃった!」
「うん。どこ行くか決めたの?」
「そうだ!これ見て!この焼き肉屋さん懐かしくない?」
「懐かしい!最初に愛梨ちゃんとご飯食べたお店だよね?」
衣音ちゃんも覚えてくれている。あの日から始まった私たちの友情は、今でも私たちの心を繋いでいる。これからも私たちはきっと、色々なことを一緒に経験してもっともっと深い絆で結ばれていくんだ。
「そうだ!ねぇ衣音ちゃん。今日泊まっていかない?久しぶりにご飯も食べるし、話したいこと色々あるし!」
「う~ん……そのお店、愛梨ちゃんの家の近くなんだよね……帰るの面倒だし、泊まろうかな。どうせ焼き肉屋さんにいる時間じゃ語り足りないでしょ愛梨ちゃんは」
「本当に?じゃあ……」
私はふと思い出す。あの時のやり取りを。どうせ断られるけど、これがいつもの『あるココ』だから。
「衣音ちゃん。一緒にお風呂入ろうよ!」
「嫌だよ!なんで愛梨ちゃんはすぐにお風呂入ろうとするの?」
「いいじゃん。じゃあ一緒に寝ようよ!友達でしょ?」
「友達でも嫌だよw」
「えぇ~!」
いつもの私たち。こんな風に軽口を叩き合いながら、目的のあの懐かしい焼き肉屋さんへ向かう。あの時、勇気を出して衣音ちゃんに連絡して本当に良かった。初めて二人で配信した時のあの少し照れくさくて、でもすごくワクワクした気持ちは、今でも鮮明に思い出せる。あの時から始まった私たちの特別な繋がりは、これからもずっと色褪せることなく続いていくんだろうな。
そしてここだけの話だけど、Fmすたーらいぶのカップリングで人気の『あるココ』は本当に私たちの日常そのものなんだ。もちろん、全部が全部そのままってわけじゃないけど、あの何気ないやり取りとか、ちょっとしたことで意地を張っちゃうところとか。ケンカしたり、意見がぶつかったりすることもたまにはあるけど、結局最後は「まあ、いっか」って笑い合える。そんな私たちの飾らない日常。
だから誇りに思っているし、人気だって他のカップリングには絶対負けたくない!そして衣音ちゃんは同期で、ライバルで……そしてかけがえのない親友。だからこそ衣音ちゃんにも負けられないよね!
「ん?なに愛梨ちゃん?」
「……なんでもない!」
私はそう言って、隣を歩く衣音ちゃんより、ほんの少しだけ先に前を歩いた。
完
あとがき
ということで、『あるココ』の誕生のお話を簡単ですが書かせてもらいました。『ポンココ』も何気なくここから始まってるんですね。
いやぁ……てぇてぇw
水瀬さんと相馬さん呼びの2人が初々しい!てぇてぇ!
そして最後の愛梨ちゃんが『ほんの少しだけ先に前を歩く』……エモいですよね。てぇてぇ!
あまり騒ぐと、どこかの神託を受けし聖なる少女に見つかるのでやめときますw
すいません8000文字想定してましたが、色々書いていたら無理だなとなり、気づいたら倍書いてましたwやっぱり人気ですからね『あるココ』は。
また機会があれば他のライバーさんのショートストーリーを書こうかなと思いますのでお楽しみに。次は誰がいいですかね?もし読みたいライバーがいれば教えてください。ちなみにリリィママとみるく先生はだめです(大人の事情)
最後に本編もまだまだ続いていきますので良かったら応援よろしくお願いいたします
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